小さな手のヒラにこぼれた
満月のカケラにも少し似た短い命 僕だけの宝物
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「満月のカケラにも少し似た短い命」は、解釈が分かれるかもしれません。
他人から見てもその価値がわからないモノです。
「僕だけの宝物」という繋がりを考えると、授かった「才能」のようなものかもしれません。
「表現する力」の暗喩と考えると、この後の「KNIFE」の用いられ方に整合してきます。
黙字のKが秘める特殊な意味
強く望んだら望んだ分だけ 隠したKNIFEはスルドくなるもんさ
皆あこがれたHEROみたいに 隠したKNIFEが僕を強くする PROVE YOURSELF
OH YEAR!
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
このフレーズでは、「KNIFE」と表記されています。
なぜ「ナイフ」ではなく「KNIFE」なのか?これはレビュータイトルの問いでもありますね。
これはBUMP OF CHIKENの2ndアルバム「THE LIVING DEAD 」の収録曲「K」の歌詞にヒントがありそうです。
「K」は掌編小説のような楽曲ですが、 物語中でも「K」は重要な意味を持ちます。
後述しますが、藤原基央にとってアルファベットの一文字「K」に特別な思いがあるようです。
KNIFEに込められた意味
黙字の「K」を持つ「KNIFE」は、明らかに「ナイフ」とは違う意味を持っています。
「隠したKNIFEが僕を強くする」では、「KNIFE」は主語となり「能動的」存在です。
「KNIFE」はもう少年の頃の夢を叶える道具や手段ではなく、それ自体が「僕を強くする」。
先の「ナイフ」のフレーズの時には、「ナイフ」が暗喩するものは「感性」としました。
では、「僕を強くする」、特別な力を持った「KNIFE」とは何を指しているか?
「感性」の先にある、もっと「能動的」で僕をHEROのように強くするものとは?
一つの解釈として「唄うこと≑表現」ということが考えられます。
「ナイフ」が、唄や詩を感じ取る受動的な「感性」。
「KNIFE 」が、唄い、創作する能動的な「表現」。
そう対置させると、歌詞の中での使い分けが説明できそうです。
ナイフとの付き合い方
「いいだろう?このナイフ」
KNIFE SHOW ME THE WAY TO 「MYSELF」
KNIFE SHOW ME THE WAY TO「LIVE」
HOLD ON! I REMEMBER and REALIZE MY WISHES
NO REASON BUT IT'S CAREFULLY
NO REASON BUT IT'S GLORY
BUT IT'S KNIFE
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
曲全体のグルーヴ感とは少しトーンを変えて、イングランド民謡風の展開になります。
おそらく「古くからの言い伝え」や寓意のようなものを表現したかったのではないでしょうか。
ナイフは、自分が何者かってことを教えてくれる。
ナイフは、生き方を教えてくれる。
じっとしていてくれ!俺は自分の願いを思い出して噛みしめているところなんだ。
どうってことはないが、慎重にな。
どうってことはないが、神々しいまでに輝く。
ナイフって奴はね。
訳すと、大体、このような意味になるかと思います。
ナイフによる殺傷事件などが起きるたびに、ナイフを主題にした作品などが関連付けられて報道されます。
しかし、ナイフは実際は便利な道具であり、スプーンやフォークと同じくらいに生活に密着したものです。
カトラリーにも殺傷兵器にもなりうる道具としてのナイフとの付き合い方が詩的に表現されているように思います。
KNIFEをExpressionやArtといった語に置き換えても面白いですね。
ココロのKNIFEは輝く
勇気を出して自分の唄を唄ってみろよ!
夜明け色のロケットに飛び乗ろう
怖いならよく見なよ 小さな虫だって自分の唄は覚えてんだからさぁ!
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「短い命で頑張っていた」小さな虫は、自分の唄を覚えている。
勇気を出して唄ってみろよ!自分流の表現をしてみろよ!というエールの言葉です。
強く望んだら望んだ分だけ 隠したKNIFEはスルドくなるもんさ
いつも唄ってた「勇気の唄」を隠したナイフでもう一度思い出そう!
僕が望んだら望んだ分だけ ココロのKNIFEはスルドク輝いて
子猫が唄ったような 子犬が叫んだような
何よりも大事なあの日の夕焼けうつしだすよ PROVE YOURSELF
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央