僕の「ナイフ」
いきなり素敵にメインディッシュの歌詞解説スタート!
「小さな頃の唄」、「勇気の出る唄」
僕は今夜旅に出るよ 僕の行きたい場所に行くよ
「小さな頃の唄」を思い出すタメに
胸をはって旅に出るよ 朝の匂いの夢を見るよ
「勇気の出る唄」を思い出すタメに NO REASON
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「今夜旅に出るよ」というフレーズでさっそく聴く人を藤原基央の「聖なる闇の世界」に誘います。
(この「聖なる闇の世界」については後段で詳述します。)
もちろん、この場合の旅というのは暗喩的なものです。
「人生」、「行動」など聴く人によってイメージするものは異なるでしょう。
「小さな頃の唄」、「勇気の出る唄」もそうです。
少年の時に抱いていたような純粋な夢や希望、大きな志。
成長するにつれ、他人の優れた能力や成功を含めた広い世界を知るものです。
そうして大きな夢はいつの間にか身の丈に合ったサイズにしぼんでしまいます。
「ナイフ」が意味するもの
夜明け色のロケットに飛び乗ろう
怖いならよく見なよ 小さな虫だって短い命頑張ってんだからさぁ!
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「闇」と「光」が出逢う瞬間の「夜明け色」のロケット。
少年の頃に夢見た機体。
闇を切り裂くようにぐんぐん飛翔していく金属の塊。
それはタイトルの「ナイフ」のイメージとも重なります。
強く望んだら望んだ分だけ 隠したナイフはスルドくなるもんさ
僕が笑ってたあの日の夕焼け 隠したナイフでもう一度とりもどせ PROVE YOURSELF
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「ナイフ」という言葉にはどうしても人を殺傷する武器としての印象がつきまといます。
が、「ナイフ」は、ダガー・ナイフでもフォールディング・ナイフでもありません。
それは「野生」、「生きる意思」、あるいは「感性」。
少年の頃の大きな希望や夢を実現するのは、自分が持つ、自分だけの「感性」。
アナタハイキテル
ヒトは「野生」を忘れている
彼は現代の中毒者 うつろな眼をして笑って
「小さな頃の唄」を忘れようとする
だけど忘れないで アナタハイキテル
「勇気の出る唄」を一緒に唄おう NO REASON
出典: ナイフ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「現代の中毒者」という言葉には若干の皮肉が感じられます。
経済的な価値=金額でしかヒトやモノの価値を感じられない人間。
他人との優劣や競争でしか自分の価値を計れない人間。
経済的な価値や偏差値ばかり考えるニンゲンモドキへの問い。
「イキテイル」とはそういうことじゃあないだろう?
動物のように強く生きる「野生」や、他人を思いやる「感性」を忘れてはいないか?