BUMP OF CHICKEN『ノーヒットノーラン』
インディーズ1枚目のアルバム収録曲
BUMP OF CHICKENといえば、いまや知らない人の方が少ないくらいの、超有名バンドです。
そんな彼らの知名度がまだ低かったインディーズの頃、リリースした最初のアルバム。
それが「FLAME VEIN」というタイトルの作品です。
初期の名曲がたくさん収録されており、ファンにとってはたまらない作品の1つでしょう。
主人公はスラッガー?
そんなアルバム「FLAME VEIN」の中から、今回は『ノーヒットノーラン』をご紹介。
8曲目に収録されている本楽曲は、小説やアニメを見ているかのようなストーリー構成が特徴的。
もちろんストーリー性がありつつも、大切なことを教えてくれています。
主人公と物語の舞台は…?
物語の始まりはそう 成す術の無い僕らが主役
白いライト当てられて 期待を背負って
「頼むゼ我らがスラッガー。今日はどうした
未だノーヒットノーラン」
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
物語の舞台は野球場。主人公の僕は野球選手でしょうか。
監督、チームメイト、そして観客からの大きな期待を背負った選手たち。
野球場を明るく照らすライトの下に立っています。
この楽曲の主人公も同じく、大きな期待を背負わされているのでしょう。
スラッガーとは言い換えるとホームランバッターのことです。
または打率の高いバッター、そして飛距離のあるバッターを指すこともあります。
いずれにせよ、確実にボールを打つことが望まれている選手であることは明白でしょう。
そんなスラッガーですが、どんな時も絶好調というわけではありません。
今回は何かがおかしい様子。いまだに1球も打てていないようです。
実は不安な心のうち
不安なのに口から出る言葉は…
一番前で見ている人の目 その想いは僕らをあせらせて
高鳴る心の背中につかえる
タメ息に勇気かき消されても「まかせろ」なんていう
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
一番前で見ているのは、主人公に期待する人たちです。
観客席で、ベンチで、主人公のことをじっと見つめているのでしょう。
そんな彼らがスラッガーに託す想い。
それは、ホームランを打ってほしい!打ってくれるに違いない!という期待。
スラッガーを応援する周囲からの期待は、彼らを支える大きなパワーになります。
しかしながら、ノーヒットノーラン状態のスラッガーには逆効果…?!
期待に応えなければ!という焦り・不安を増幅させてしまうようです。
それでも本心をうまく表面に出せない主人公。
チームメイトや観客たちからの期待に応えようとする。応えようとしてしまう。
そんな葛藤を抱える主人公の様子が、3行目で鮮明に描かれているのです。
責任感に押しつぶされそうな主人公
だけど ライトからすぐ逃げたいよ 打てるかな 打てなきゃ
ノーヒットノーラン スラッガーだって怯えるんだ
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ここでは、思い通りに結果を出せないスラッガーの心の内が綴られています。
表面ではどんなに自信満々にふるまっていても、心の奥底では恐怖に怯えている。
スラッガーはそんな風に不安と闘いながらも、なんとかボールを打たなければ…と自分を奮い立たせているのです。
1行目最後の歌詞では、そんなスラッガーの本心が反映されています。
というのも、普通であれば1行目最後は「打たなきゃ」でもよさそうな気がするからです。
それをあえて「打てなければならない」という表現にしている理由。
それはスラッガーが自分以上に周囲の気持ちを考えているからでしょう。
スラッガーである自分がホームランを打つことに対して監督、チームメイト、そして観客から注がれる期待。
その大きさを理解しているからこそ、このような表現になったのだと考えられます。