ヒトリエ『青』の青さに迫る!
今やエモーショナルサウンドの発信源といっても過言ではない4ピースロックバンド「ヒトリエ」。
ヒトリエ以外の音楽活動をアクティブにこなしながら、ヒトリエとしても完成度の高い楽曲を生み出し続けています。
今回ご紹介する曲は、彼らの4thアルバム「HOWLS」収録の『青』です。
『HOWLS』
2019.2.27 Release
1. ポラリス
2. 伽藍如何前零番地
3. コヨーテエンゴースト
4. SLEEPWALK
5. 殺風景
6. November
7. LACK
8. Idol Junkfeed
9. 青
10. ウィンドミル
出典: http://www.hitorie.jp/
アーティストやアルバム詳細につきましては公式サイトをご覧ください。
ヒトリエ OFFICIAL WEBSITE
『青』の歌詞に広がる青色を徹底解剖!
「悲痛」という表現がマッチするギターソロが印象的な『青』。
MVには、幸せとはかけ離れた表情を見せる男女の姿が映し出されています。
タイトルである「青」を思わせる寒々しさの中、熱っぽく演奏するヒトリエの4人が印象的です。
「青」というひと言に、どのような意味が隠されているのでしょうか。男女の行く先は?
ヒトリエの『青』の世界を紐解きます!
それぞれの青に共通するのは「正直さ」
「青」という言葉にどんな印象を抱きますか?
「青春」であれば爽やかでフレッシュなイメージですし、「青信号」は安全である証。
また、青は冷静さを感じさせます。子どもの頃には青=男の子の色という認識があったかもしれません。
『青』の曲中ではどのような意味で使われているのでしょうか。
忘れられない青、忘れたくない青
僕らの青はいつまでだって
消えることなんてないって思ってた
出典: 青/作詞:wowaka 作曲:wowaka
ここで歌われている「青」は「青春」でしょうか。
人生の中で青春と呼ばれる時期はほんの一瞬で過ぎ去っていきます。
しかし青春の中に身を置いている者たちには、青春の終わりなんて見えません。
大人と子どもの狭間のようなこの季節がもしかするとずっと続くのではないか。
「僕」は、心のどこかで期待していたのかもしれません。
だから
僕らの恋がいつか終わって
それでも残るものを信じるよ
出典: 青/作詞:wowaka 作曲:wowaka
初恋を色で例えると、桃色や赤でしょうか。
青春真っ只中の彼らの日常では、青と桃色が同居していたのかもしれません。
一般的に「実らない」といわれる初恋。桃色は徐々に色を失って透明になっていきます。
それでも恋人と過ごした青春の記憶「青色」は他と混ざり合うことも消えることもないはずです。
恋人と見た景色は青春を象徴する青色ではないかもしれませんが、彼の記憶は青色に染まるのでしょう。
「泣いていいかな」
「笑っていいかな」
何方にも征けず
不思議な表情になってさ
僕ら、
僕らの恋はいつか終わって
それでも僕らが終わることはないだろう
出典: 青/作詞:wowaka 作曲:wowaka
青春にも初恋にも終わりがある。そんな真実を見て見ぬふりをするのが青春時代です。
見て見ぬふり=見えているのに、ひとたび恋を失ったときに彼らは動揺を隠せません。
ですが、恋人との縁が切れてしまっても友人として日常を送ることはできます。それもまた青春の1ページになるはずです。
例え住む場所が離れたとしても、友人という関係は恋人ほど明確な区切りがなく続くでしょう。
ですから、動揺する必要はないのです。関係性は終わらないかもしれないのですから。
しかし、この曲の「終わらない」という言葉に「思い出は消えない」「いつまでも忘れない」といったポジティブさが感じられません。
忘れたくても忘れられない重苦しさ。忘れてしまったら自分を見失うような危機感。
こうしたものが綯い交ぜになっている「青」なのでしょう。