宮本浩次【はじめての僕デス】歌詞の意味を解説！平均点の良さって何？平凡な自己紹介のおもしろさに迫る

さて、1番の最後に触れておきたいのがこのフレーズ。

叫ぶ表現が印象的で、多くの人の耳に残るフレーズです。

ここの歌詞もなかなか深いものがあります。

早速考察していきましょう。

謳いぶりや歌詞の口調から何か元気な印象を受けたと思います。

成績も普通、喧嘩の強さも普通。

感覚も他の子供と変わるところは別にない。

どこにでもいる少年だ、という自己紹介でした。

しかし、この少年が普通だといえない点が1つあります。

それが、普通・平凡であることに胸を張っている点です。

「君は平均点である」という評価は悪い意味で使われることも多い表現。

しかし、僕は平均点です、凡人ですときっぱり言い切る。

この腹の座り方こそこの曲の魅力だと思うのです。

普通であることをコンプレックスと思っていない。

むしろそれを個性にして自己紹介している。

そういった「おもしろさ」がこの曲にはあります。

さて、ここから少年の家族紹介が始まるようです。

まず住んでいる家の大きさから紹介が始まりました。

「2DK」。

これは寝室として使える部屋が2つあり、その他に食堂とキッチンがある家のことです。

これは宮本が当時住んでいた赤羽の住居と重なります。

この辺りの「おもしろさ」もこの曲の魅力です。

宮本浩次とこの曲の少年の共通点・相違点を考えるのもおもしろいですね。

どうやら家族も「普通」なようです。

まず三人家族で、少年は一人っ子。

そしてお母さんの発言権が強い。

こういう家族も多いのではないでしょうか。

女性とはもともと家を守る役割があります。

男が狩に行っている間、いえを守るのは女の役割だったからです。

いかにも昭和の、「お父さんが絶対」という家もあるのでしょう。

しかし、この曲リリース当時、1976年当時は女性が強い家庭も珍しくなかったはずです。

そういう意味でも、この家族は平凡・普通の家族だといえるのでしょう。

さて、いよいよ3番の解説に入ります。

ここまで、自己紹介、家族紹介をしてきた少年。

最後に自身の生活について語っているようです。

「面倒を頼む」とは、「相手の手を煩わせる」という意味です。

ここでは自分の世話をしてくれ、ということでしょう。

こういうことが好きで、こういうことが嫌いだから理解していて、という感じです。

まず少年は漫画が好きなようです。

よくいる子供ですね。

そして彼女は可愛い（少なくとも少年はそう思っている）。

おやつをよく楽しむ。

しかしお小遣いが少ないことに不満。

より少年の鮮明な人物像が理解できましたね。

そうです、特に驚くこともない「普通」の子供です。

漫画が好き、おやつを与えれば喜ぶ。

しかし、1つ注目すべきポイントがあります。

それは少年が自分の彼女のことを「バツグン」と言っていることです。

一見すると「生活の紹介」に見える3番の歌詞。

これは、少年の幸福論を示したものだと思うのです。

何を紹介しても、「普通」である少年。

家族もいたって普通、平均点だといっていました。

しかしこの少年は胸を張っているのです。

「普通であるという個性」を認識しているのです。

「平均点でも幸せだ」といっている。

これは競争社会に生きる私たちにとって大切なことをいっているのではないでしょうか。

私たちは「力」を求めてしまいます。

人より優れている、劣っているということが価値の基準になってしまいがちです。

だからこそ、「普通」であるという誇りを持つ少年が珍しく見えるのです。

僕は、普通だ、平均点の人間なんだ。

でも、彼女は可愛いし、おやつは美味しいし、漫画は面白いし。

とっても幸せなんだ。

そういっているのです。