「今、私に見えるどんな場所でも
私はあなたの抱擁に囲まれているの
ベイビー 私はあなたの栄光を見ることができる
あなたは私の救いであることを分かっているよね」
充実した恋愛がもたらす多幸感によって私は未知なる光景を眼にします。
どこにいてもあなたの抱擁の中にいられるような神聖な心持ちを抱くのです。
恋愛をすると私たちは街中のいたるところにパートナーの存在を探してしまいます。
そのさらに上の体験としてどこにいるときもパートナーの胸の中にいるような心境になると綴るのです。
どんなときもあなたの存在自体に救われている思いがする。
歌詞にするとどうしても手の届かないくらいに神聖な愛に思えるかもしれません。
しかし日常で私たちはパートナーの存在に助けられています。
ビヨンセはそのことを詩に昇華しているだけなのです。
ですから「Halo」を夢物語のように捉えると、この曲の価値を見誤ります。
身近なパートナーとの愛を再確認して欲しい。
そこに私たちひとりひとりに恵まれた「Halo」があるはずだから気付いて欲しいとビヨンセは歌います。
ビヨンセが自慢だけで充実した恋愛を描く可能性はないに等しいです。
大切な「Halo」はリスナーの身近なところにあるから目を啓いてと歌っているのでしょう。
愛こそ最優先事項
You're everything I need and more
It's written all over your face
Baby, I can feel your halo
Pray it won't fade away
出典: Halo/作詞:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé 作曲:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé
「あなたは私が必要としていた以上のすべてもの
あなたの顔にすべてが書かれている
ベイビー 私はあなたの栄光を感じるわ
その栄光が消え去らないように祈る」
ここまで理想的な恋愛が可能なのかなど悩む必要はないです。
お互いが大切にしている価値観を共有しているパートナーは誰もが愛の神聖な領域に立ち入っています。
ラブソングの中の出来事だとして片付けてしまうと作品を鑑賞する意味すらなくなるでしょう。
私たちは等しく大切なパートナーとそれぞれの愛を育んでいるのですから。
作品の解釈は自分の身を投じるときに初めて肉になり血になります。
「Halo」を聴きながら大切な人のことを想ってください。
パートナーへの優しい気遣いがうかがえるラインです。
日頃、私たちを理解してくれるパートナーの存在は本当にかけがえのないものでしょう。
ビヨンセは相思相愛の仲に神聖な愛の姿を浮き彫りにします。
反面、浮気するような男性にはスラング混じりで罵倒をするという側面さえあるのです。
彼女にとって愛は最優先事項ですから、いつもパートナーの愛を感じたい。
そして自分から積極的に相手を称賛する。
このことによって永遠の愛に近付けると描いています。
それは決して難しいことではないのです。
善良で嘘がない人
I can feel your halo, halo, halo
I can see your halo, halo, halo
I can feel your halo, halo, halo
I can see your halo, halo
Halo
出典: Halo/作詞:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé 作曲:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé
「私はあなたの栄光を感じることができる
私はあなたの栄光の光輪を見ることができる
私はあなたの栄光の後光を感じることができる
私はあなたの栄光の天使の輪を見ることができるの
栄光を」
「Halo」という言葉の多義性を借りて訳出しました。
リスナーの裁量で「Halo」の意味は変わってくるはずです。
それでも何か神々しくてたまらない魅力を持った物事にこの称号が与えられます。
あなたの栄光とは何でしょうか。
おそらく私への愚直過ぎる愛の姿です。
飾るところがないあなただからこそ、「閉じた」私を解きほぐす力があなたにはあるのでしょう。
ビヨンセの相手ということで特別な人ではあります。
しかし実際に出逢ったら拍子抜けるほどに気さくな人を描いているようです。
善良な人。
嘘のない人。
ビヨンセが求める男性像はおそらくこうしたものでしょう。
間違った行いをする人や不実な輩を散々罵倒する歌を創ってきたビヨンセ。
その裏には正しいことを素直にできる人や、パートナーを欺くことのない人を欲しているはずです。
あなたの輝きの正体
パートナーの愛に温まって
Hit me like a ray of sun
Burnin' through my darkest night
You're the only one that I want
Think I'm addicted to your light
出典: Halo/作詞:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé 作曲:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé
「太陽の光のように私を温めて
闇深い夜をずっと燃やしてくれる
私が欲しいのはあなた唯ひとりよ
あなたの光に私は依存しているのだと思う」
「Halo」はあなたの人柄のように裏表のない歌詞になっています。
余計な勘ぐりは必要ないのです。
ただ、ゴージャスなラブソングであるから自分にとっては関係のない話だと思うと損をするでしょう。
もう一度、パートナーに眼を向けてください
普段からどれだけ助けられているのかを実感するはずです。
ビヨンセもそうした自然な想いを歌に昇華しています。
出逢った頃のことを思い出すと、相手に光り輝く要素を見つけられたから一緒になったはずです。
日常生活の中でそうした新鮮な驚きに鈍感になってしまうかもしれません。
しかしパートナーの輝きが消え失せた訳ではないのです。
相手の魅力や輝きを受け取る力が少し鈍くなってしまう。
長い間、一緒にいるとそうしたことも仕方ないのかもしれません。
ただ、相手を失くしたときにその輝きの偉大さに気付くという悲しい想いはしたくないでしょう。
ビヨンセは相手の魅力に気付ける力を日々磨いているのだと思います
あなたの輝きに自分の胸を毎日ときめかせる力。
こうした力は意識しないと養えないものかもしれません。
啓示に導かれたような愛
I swore I'd never fall again
But this don't even feel like fallin'
Gravity can't begin
To pull me back to the ground again
出典: Halo/作詞:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé 作曲:E. Kidd Bogart, Ryan Tedder & Beyoncé
「決して恋に落ちないと私は誓ったわ
でもこの恋は落ちてゆくような気配すら感じないの
重力も私を再び地上へ引き上げ始めることさえできないの」
抽象的で分かりにくいラインですが、それだけあなたに恋をしてしまったという内容です。
私はもう恋などしないと頑なに壁を作って生きてきました。
しかしあなたとの出逢いは自然に心が温まるもので、一気に心の壁も崩れ去ります。
運命的な出逢いであり、まるで啓示に導かれたような心境になるのです。
あなたの存在がいつも神々しいのは謎でしょう。
ビヨンセ本人にしか分からない感覚でもあります。
ただ、歌詞を身近なものとして惹き付けて考えてみましょう。
心暗いときに運命の人と出逢った瞬間に世界が「Halo」で満たされます。
人間は不思議なもので魅力を感じた人を見ると目の瞳孔が大きく広がるのです。
瞳孔が広がると周囲の光線を普段よりもよく認識します。
好きな人にオーラを感じるのは開いた瞳孔に光が集まり対象人物が輝いて見えるというメカニズム。
こうして現実を紐解いてしまうと「Halo」の価値が下がるかもしれません。
ただ、人間の眼というものと受け取る脳の不思議さは知っておいて損はないです。