aiko「KissHug」
2008年リリース
「KissHug」は2008年7月23日にリリースされたaikoの24枚目のシングルです。
シングルとしては初めてタイトルがアルファベットで表記された楽曲となりました。
またタイトルの「KissHug」とは、リリース当時に開催されていたライブツアー「Love Like Pop Vol.11」でグッズとして販売されていたTシャツのデザイン「×○×○」が元になっているそうです。
「×」はキス、「○」はハグを意味し、「キスハグキスハグ」と関係を重ねた恋愛をイメージして長く付き合っている2人を描く楽曲が作られました。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオの舞台には神奈川県横浜市の日本大通り周辺が選ばれました。
終始穏やかな、それでいてどこか切なげな表情で歌いながら街の中を歩いて行くaiko。
横浜の街中ではなく、海沿いの少し寂れた通りやあまり人通りのない裏路地。
私たちが普段の日常生活の中でよく目にするような光景の場所を歩いているのが、非常に印象的な映像となっています。
まるでaikoの彼氏となって、何気ない日常の中、2人で散歩デートをしているような。
そんな気持ちにさせられてしまうような、素敵なMVとなっているのではないでしょうか。
ゆっくりゆっくりと恋や想いを積み重ねていくようにaikoが歩いていくミュージックビデオに仕上がっています。
映画「花より男子F(ファイナル)」の挿入歌に起用
そして、「KissHug」は井上真央主演の映画「花より男子F(ファイナル)」の挿入歌として起用されました。
aikoの楽曲が映画の挿入歌として使われたのは初めてのことで、映画にちなんで別名「つくしのテーマ」と名付けられました。
映画「花より男子F(ファイナル)」は2008年6月28日公開されました。
元々は漫画が原作で、その後、TBS系列でドラマが放送されました。
その完結編としてドラマ「花より男子2(リターンズ)」の最終話から4年後の姿が描かれた内容で映画化がなされました。
映画はドラマと違って原作に沿わず、オリジナルの脚本が採用されました。
劇中でこの曲が流れるのは、主人公のつくしが道明寺にもらったネックレスを必死で探すシーン。
道明寺もまた、そんなつくしを必死で探し回っているシーンにも跨っていますね。
大好きな相手からもらった大切なものを無くしてしまった、という時のつくしの絶望感。
そして道明寺もまた、大事な人であるつくしがいなくなってしまったことへの焦りでいっぱいです。
2人が互いをどれだけ大切に思い合っているかが、痛い程伝わってくるようなシーンです。
その中で流れてくるこの曲に、切なさが極まって思わず泣いてしまった、という人もきっと多いことでしょう。
そんな映画の中でも非常に大事なシーンで使われている、この「KissHug」。
一体この曲では、どのような内容の歌詞が歌われているのでしょうか?
ここからは早速、その歌詞の内容を紐解いていきたいと思います。
「KissHug」の歌詞を紐解く
あなたへの想いを描く
友達だなんて一度も思った事はなかった
あなたに出逢ったその日から
変わってしまったのもあるけど
変わらない事の方が
あなたもあたしも多いよ
出典: KissHug/作詞:AIKO 作曲:AIKO
冒頭部分ではあなたへの想いが語られています。
「友達だなんて一度も思った事はなかった」という歌詞からはあなたに一目惚れし、出会ってからずっと恋心を持っていることが分かります。
出会ったことで話をしたりお互いのことを知っていき、関係性は出会う前と変わっていくのは当然のことです。
しかし、一目惚れしてからの恋心は変わることはありません。
そんなあなたへの想いの強さが表現された導入になっています。
こうして距離が近づくまでは、知らなかったあなたのこともたくさんあります。
好きな食べ物や嫌いな食べ物、嬉しい時の口癖や、いらいらしている時の何気ない仕草。
それはきっと、あたしに対するあなたの想いも同じなはず。
それらを知り2人のお互いに対するイメージは、確かに大きく変わってしまったかもしれません。
けれどその思いの奥底には、昔と何も変わらずあなたに惹かれているあたしがいるのです。
あなたの好きなところは何も変わらない
暑い帰り道に見えなくなるまで
本当に小さくなるまで見ていた
あなたが好きだったの
今も今も
出典: KissHug/作詞:AIKO 作曲:AIKO
「暑い帰り道」という言葉からは季節は夏であることが分かります。
一緒に過ごす時間が楽しければ楽しいほど、別れ際は寂しくなります。
少しでもあなたを感じていたいとあなたが帰っていく後ろ姿を見つめている。
そんな健気な女性の姿が目に浮かぶようです。
そして、「今も今も」とずっと変わらない想いをさらに強く表現しています。
あたしが好きなあなたの姿は、昔と何1つ変わらないのです。
自分より大きくて広い背中に、あたしよりずいぶんと大きな手のひら。
そして何より私の名前を呼ぶ穏やかな声に、優しく微笑みかけてくれるその笑顔。
何一つ変わらないその姿が、あたしは今でもずっと大好きなままなのです。