aiko「気付かれないように」
アルバム「彼女」に収録
aikoの「気付かれないように」は、シングルとしてはリリースされていません。
2006年8月23日にリリースされた7枚目のアルバム「彼女」の2曲目に収録されました。
このアルバムには、シングル曲としては「キラキラ」「スター」「雲は白リンゴは赤」が収録されており、シングル曲はポップな曲調の楽曲が収録されています。
全14曲の収録曲の中でも「気付かれないように」は、ミドルバラードになっており、アルバムの中で良いスパイスになっています。
また、健気な女子の気持ちを歌うaikoを象徴したアルバムになっており、オリコン週間、月間チャート共に首位を獲得し、aikoの楽曲が幅広い層に受け入れられていることが分かる1枚となりました。
さらに、アルバム用にプロモーションビデオが制作されるという珍しい宣伝形態が採用され、ファンの間では話題になりました。
シングルにプロモーションビデオを制作するパターンは主流ですが、アルバム用はほとんど見ませんよね。
しかも、このプロモーションビデオがとても豪華になっており、俳優の大杉漣、須賀健太、西内まりや、さらにはaiko本人までが出演するというファンには嬉しいドラマ仕立ての内容に仕上がっています。
曲名に込められた意味とは?
アルバム収録曲の中で唯一「○○」が出てくる
アルバムを制作する際、アーティストはただ曲を羅列し収録するのではなく、コンセプトを持ってアルバムを制作するのがほとんどでしょう。
もちろんこの「彼女」にも、コンセプトが存在しています。
それは「様々な女性や女の子を閉じ込めたアルバム」というコンセプトです。
異性と付き合う恋愛対象としての「彼女」、単純に女性の呼称としての「彼女」など、一口に「彼女」と言っても、そこには様々な意味を持たせることができます。
それを利用し、aikoはそのそれぞれに呼びかけるかのように総合した意味合いを持たせて「彼女」という言葉をタイトルに据えたそうです。
そんなこのアルバムですが、「彼女」というタイトルの楽曲は収録されていません。
これは、曲にそのタイトルを付けてピンポイントにしてしまうのを避け、タイトルの「彼女」から派生した14曲分の「彼女」、そして、シチュエーションを表現しようということではないかと考えられます。
その中で唯一、「彼女」という言葉が歌詞に出てくる楽曲があります。
それこそ今回紹介する「気付かれないように」なのです。
誰に「気付かれないように」なの?
このようにアルバムの中でも特別な位置付けになっていそうな「気付かれないように」ですが、一体、誰に「気付かれないように」という意味でこのタイトルを付けたのでしょうか?
付き合っている彼氏になのか、別れてしまった元彼になのか、はたまた心の中に存在する本当の気持ちになのか。
色んな想像が、そのタイトルから浮かんできます。
それでは、そんなタイトルの疑問にも触れながら、次に「気付かれないように」の歌詞に迫っていきましょう。
「気付かれないように」の歌詞を徹底解釈!
フラフラしている自分の気持ちを悟られたくない
久しぶりに逢ったあなた 照れ隠しに髪を触った
よみがえってくる思い出が 溢れぬ様に大人ぶって
出典: 気付かれないように/作詞:AIKO 作曲:AIKO
まずは、導入部分です。
「久しぶり」という言葉から、すでに2人の関係は終わりを告げていることが分かります。
付き合っていた日々を思い出しながらも、それに囚われないように自分を保ちながら、さらに大人になった自分を演出するかのように髪を触る姿が目に浮かんでくるかのようです。
隣で歩くあたしにあなたは前を向き話しかける
さり気ない返事装い あたしもよそ見をして
出典: 気付かれないように/作詞:AIKO 作曲:AIKO
そして、2人はお互いに同じ方向を向きながら歩いている様子が描かれます。
向かい合って話すのではなく、この前を向いてというのがミソであり、目を合わせずに話すことでお互い気を遣っているのが感じ取れます。
互いに意識はしているのに、面と向かって話すことはできないもどかしさや切なさが上手に描かれている歌詞になっています。
声を聞いて泣きそうになるけど 何故だか解らない
もう戻れない悲しみなのか出逢えた喜びなのか
気付かないように 気付かれないように
出典: 気付かれないように/作詞:AIKO 作曲:AIKO
そして、そんな風に気を遣ってしまっている自分の気持ちが分からなくてやきもきしています。
気を遣いながらあなたと会話をし、その声に自然と涙が溢れそうになりますが、この感情が一体、何によるものなのかが自分でも分からないようです。
それは、付き合っていた頃に戻りたいからなのか、それとも今、会って話せていることが単純に嬉しいのか。
しかし、「気付かないように」という歌詞からは、その答えを求めるのも自分では違うと思っているように感じます。
自分自身の気持ちに気付いてしまうと、もしかしたら後戻りができなくなってしまうかもしれないという不安があるのかもしれません。
ということは、あなたにはもう別の彼女がいるのではないでしょうか。
そんなフラフラした自分の気持ちをあなたには悟られたくなくて、最後にタイトルでもある「気付かれないように」という言葉をはめていることが想像できます。