許せないことなんてないんだよ
君は優しくなんてなれる
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
このラインを解読するには僕の性格というものがどう設定されているのかを知る必要があります。
アルバム「だから僕は音楽を辞めた」の表題曲などを聴くと分かるのですが僕は激しやすい性格です。
ここではその僕の性格に比べるとエルマは人に優しくできる人間だねという思いを歌います。
激しい性格の持ち主は穏やかな人のことをうらやましく思うものです。
穏やかに生きられる人は憎しみというネガティブな感情によって振り回されることがありません。
ネガティブな感情というものはやがて人格を蝕んでしまう傾向があるので注意が必要です。
特に僕のように若いうちは自分の中の悪い傾向をコントロールすることができません。
大人になるうちに神経も角が取れて丸い人間に変わってゆけます。
しかし僕はこうした性格形成の面でも旅の途上という状態なのです。
自分の感情をどうコントロールしていいか分からない。
それだからこそ僕は音楽まで手放す運命になったという側面を否定できません。
違う土地でやり直したい
このまま何処かの遠い国で
浅い夏の隙間に寝そべったまま
涙も言葉も出ないままで
ただ夜の深さも知らないままで
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
僕の気持ちはいまとは別の場所に向かいます。
このままここにいてもエルマのことを忘れられないで涙を流すしかないだろうということを思うのです。
違う土地ならばゼロからやり直すことができるかもしれないという期待をのぞかせます。
ここにいると夜も遅くまで起きていて、どうしても眠れない日々が続くと嘆くのです。
失恋は誰にでも抑うつ症状をもたらします。
うつ病とはまったく違う自然な現象なのですが、その症状はとてもよく似ているのです。
不安や愁訴、そして不眠といった症状が現れます。
こうした症状はあくまでも一時的なものですのでうつ病とは区別されるのです。
しかし一時的という点が違うだけで症状は似通っています。
この心の痛みのために自ら生命を絶つ人だっているのですから失恋も怖ろしいものです。
僕も涙に溺れて不眠を訴えている現状に困っています。
知らない土地でやり直すことを考えることだけがいまの唯一の希望になっているのです。
失恋を経験したことがないという方はいらっしゃらないと思います。
多くのリスナーが僕のこうした気持ちを理解できるはずです。
ときには瞼を閉じて
後ろ向きになっても仕方ない
辛いことも苦しいことも何も見えないならわからないし
塞いだ目閉じたままで逃げた
月明かりの道を歩く
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
目を閉じていれば心配事などないという真理・心理を歌ったのはジョン・レノンでした。
ビートルズの「Strawberry Fields Forever」でこうした思いを歌い上げます。
僕も同じような心境になって歌っているのです。
瞼を閉じて現実を見なくなれば不安な情景自体が見えなくなると歌います。
もちろん後ろ向きの考え方といえるでしょう。
しかし僕はそうでもしないと自分の壊れそうな心を守ることができません。
失恋の痛手から身を守るためにはこうした考え方を採用しないと生きてさえゆけないのです。
人の心というものは壊れものですから大切に守ってあげなくてはいけません。
周囲の人が気遣って守ってくれることもあるでしょう。
しかしいまの僕はひとりぼっちの旅の途中なのです。
自分の心をケアしてプロテクトできるのはまさに僕自身だけでしょう。
それならばたとえ後ろ向きな生き方であっても目を閉じるべきです。
自分が壊れてしまったならば僕を助けてくれる人はいないのですから仕方ありません。
もう痛みはなくなったと思えるようになったら瞼を開けてみればいいのです。
後ろ向きな生き方に人生をまるまるのみ込まれてはいけません。
しかし失恋したときなど緊急時に少しだけ瞼を閉じて現実逃避することは責められることではないです。
旅先でずっと考えていることは
狭い部屋も冷たい夜も
眠い昼も 寂しい朝も
さよならの言葉越しに君の顔を見てる
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
旅先ですから自宅のようにくつろげる空間では眠れません。
ホテル・宿屋の寝室で眠りにつきますが快適さからはほど遠いです。
こうした環境にいると自分の現状をますます悲しいものと感じられるものでしょう。
失恋によってショックを受けているので夜は遅くまで眠れません。
夜に眠れなかった分だけ昼間に眠気が襲うのも仕方のないことでしょう。
覚醒めている間はずっとなぜエルマと別れてしまったのかと自分を呪っているのです。
さよならを告げた言葉が残酷に僕の心を切り裂きます。
私たちは自分からさよならを告げても胸に痛手を負う存在です。
相手の不在というものにしばらく慣れない日々が続いてしまいます。
もちろんさよならを告げられた立場ならなおさらです。
また両者の合意によって仕方なく別れてしまっても相手の不在をしばらく嘆いてしまいます。
私たちがいかに恋愛というものに心と生活を支えられていたか。
この事実に気付くのは愛を失ってからです。
失って初めて実感する愛というものの重さと存在感。
人の心を真ん中で支えているのは愛なのです。
僕は起きている間、ずっと別れたエルマのことを思い続けます。
目の前の現実よりも追憶の中の彼女の姿しか見えない状況が続くのです。
悲恋や失恋というものが僕を抜け殻のような存在にしてしまいました。
最後に 愛の喪失感に浸る
セルフケアのために見知らぬ土地へ
このまま何処かの遠い国で
浅い夏の隙間に寝そべったまま
涙も言葉も出ないままで
ただ空の青さだけ見たままで
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna