楽曲について
ORANGE RANGEの楽曲『KONOHOSHI』。
この世界をも包み込むような壮大な愛を謳い上げたラブソングです。
歌詞の1つ1つが心に染み込んでいくようなミディアムナンバー。
優しい歌声と穏やかな曲調は、聴いているだけでどこか落ち着きをもたらします。
日本各地のフェス会場でオーディエンスを大盛り上げさせる彼ら。
その熱さは、もちろんこの楽曲にも内包されており、どこまでも私たちを励ましてくれるのです。
冒頭の歌詞「誰かを~」にこの楽曲で伝えたいことの全てが込められていると解釈します。
さて、その歌詞の内容について以下で詳しく紐解いていきましょう!
ひたすらにラブソング
気付かないようにしていた「優しさ」
誰かを想うその優しさが 私を救う優しさに
姿を変えて再会する 物語を紡いでこう
出典: KONOHOSHI/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
私たちが生きる上で重要なこと、その全てがこの歌詞に内包されているのではないでしょうか。
注目すべきは「思う」ではなく「想う」と綴られている点です。
ニュアンス的には、相手を思慮深く捉え、心の底から相手のことを考えるという意味。
ただ真っ直ぐな優しさ、それはもはや「愛」と形容しても問題ないと解釈します。
そこに見返りや報酬などを考えることなく、心のなすがままに相手を愛する。
そうすれば、いつかは自分に返ってくるといっているのです。
何故、このようなリリックを書く必要があったのでしょうか。
それは、昨今の誹謗中傷や心無い行動、誰もが蹴落とし合う社会が背景にあるからなのでしょう。
皆が血眼になって、価値観を押し付け、自分の正義が間違っていないものだと思っているのです。
まるでディストピアのようなこの世界で、誰もが忘れているだろう「優しさ」。
誰かに優しくすること自体が、恥ずかしいもの、情けないもの、弱いものだと思っているのではないでしょうか。
ORANGE RANGEは優しく謳い上げていますが、内心では叫んでいるように感じられます。
「どうして誰も分からないんだ」という阿鼻叫喚が垣間見えてくるのです。
冒頭から心に刺さりつけるようなリアルなリリック。
続いてみていきましょう。
諦めないこと
転んでしまった男の子 地球を叩いて恨み節
涙を堪えて立ち上がり 原っぱ駆けてゆく
出典: KONOHOSHI/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
謳われているのは、何かに立ち向かった先で諦めないことの重要性です。
いつしか「現実感」に怯んでしまっているのではないでしょうか。
物事をやり遂げることの難しさ、諦めなかったとしても約束されていない成功。
子どもの頃は、無我夢中に目の前の壁に立ち向かっていました。
大人になってからは、壁の高さを意識するようになり、立ち向かう前に諦めてしまうのです。
心の中に飽和する「恐怖」「不安」「無力感」。
それらをもう1度だけ取っ払ってみてほしいとORANGE RANGEは謳っているのです。
口頭だけで励まされても、なかなか意欲は湧いてきません。
しかしながら、それが「歌」になることで、言葉に力が宿り始めるのです。
私たちが生きていく中で、諦めてしまっているのは「挑戦」ではないでしょうか。
「今」を感じて
孤独に気づいて
一人二役してるおままごと そんな背中に近づいて
「私が子供の役やるね」 話しかけた女の子
出典: KONOHOSHI/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE
先ほどは男の子の情景から「諦めないこと」が綴られていました。
そしてここでは、「相手を想う優しさ」について謳われています。
1人で遊んでいる子に、自ら声をかけて遊びに参加した女の子。
一見、子どもに限った微笑ましい「優しさ」を描いているようですが、そうではありません。
私たちも常日頃に、「孤独」を感じてしまう瞬間があり、全員が独りで生きているのです。
その孤独に気づいていながらも、見て見ぬふりをしてしまった経験があるのではないでしょうか。
そして、誰しもが、自分の抱えている孤独を恥ずかしいものだと考え、見せないようにしています。
その思考が普遍的になっている現状では、双方が近づかないように棘を出している状況なのです。
だからこそ、欲求不満やストレスが募り、本当は欲しかった優しさが、誰かを傷つける間違った表現へと変容。
「あなたが本当にしたい行動はそれなのか?」と強く私たちに問いかけているメッセージです。
過去も未来もやめて
忘れていたかもね 諦めていた
止まった景色 動かしていこう
“今”を生きよう
出典: KONOHOSHI/作詞:ORANGE RANGE 作曲:ORANGE RANGE