aiko「夏服」

収録アルバム

aiko【夏服】歌詞の意味を徹底考察!夏服を着てほしくないのはなぜ?冬を引きずる切ない恋心に迫る!の画像

「夏服」はaikoが2001年6月に発売したアルバム「夏服」に収録されています。

ヒット曲である「ロージー」や「ボーイフレンド」といったaikoの代名詞たる恋愛ソングたち。

その最後を締めくくる、aiko弾き語りによる楽曲となっています。

トラックリストにはない隠し曲

1. 飛行機
2. be master of life
3. ロージー
4. 密かなさよならの仕方
5. 終わらない日々
6. 心日和
7. September
8. 雨踏むオーバーオール
9. アスパラ
10. ボーイフレンド
11. 初恋

出典: 夏服/aiko

アルバムの収録曲はこのようになっています。

「夏服」はアルバムタイトルと同じ曲名でありながら、トラックリストにその名前が乗っていません。

楽曲隠しトラックとして収録されており、最後のタイトル「初恋」が終わったあとで聴くことができます。

夏のはじまりという楽しさと高揚感を連想させるはずの季節が、切なく苦しいものに感じられる。

表題曲でありながらアルバムを聴いた人しかその存在を知りえない、隠された名曲です。

aikoはこの曲にどんな思いを込めたのでしょうか。考察をしていきたいと思います。

過ぎゆく季節

もっと緩やかに季節が過ぎていってるのかと思ってた
思った以上に静かにこんなに早く夏がくる

出典: 夏服/作詞:AIKO 作曲:AIKO

桜が散って春が終わり、空高く光る太陽が夏の気配を感じさせる。そんな季節が舞台となっています。

この歌の主人公はにある別れを経験しました。大切だった恋人との別れ。大きな失恋です。

その喪失感は大きく、悲しみのあまり心は沈み、身体が重く感じられるほど。

まるで抜け殻になってしまったように日々を過ごしていたのでしょう。

楽しい日々ならあっという間に過ぎるものです。

それとは逆に、空っぽで味気ない毎日は淡々として、主人公にはとても長い時間に感じられていました。

実際は冬が終わり春が過ぎ、夏が訪れようとしています。

知らぬ間に流れていた時間。

雪解けのあたたかな心地も、桜舞い散る春の風景も、すべて主人公が気づかぬうちに過ぎ去っていたのです。

変わる季節の変化を感じ取れぬほど、主人公は漠然とした毎日を送っていたのでしょう。

まるで時が止まってしまったかのように。

それだけ、恋人との別れは主人公にとって大きな出来事だったのです。

離れていた心

優しい嘘

思いやった嘘をつけるあなたに
心の底からあたし臆病になってしまってた

出典: 夏服/作詞:AIKO 作曲:AIKO

主人公が愛していた恋人はとても優しい人だったようです。

ですが、その優しさは主人公にとって残酷なものでした。

愛し合い、絆を確かめ合って共に過ごしていた。そのはずが、いつの間にか恋人の心は離れてしまっていたのです。

それを象徴するのが嘘でしょう。恋人は主人公に対して優しい嘘をついていました。

優しい嘘は「相手に心配をかけたくない。相手を傷つけたくない。」そういった心理からくるものです。

主人公の為を思って、恋人は本心を偽るようになったのでしょう。

小さな嘘であればそれほど問題は起こりません。

ですが、恋人はそういった嘘を積み重ねていたのかもしれません。

小さな嘘も積み重なれば、いつかは大きな歪みになります。

結果的に、優しい嘘は限界を迎えてしまいました。

恋人は本心を偽り続けるための我慢をしきれなくなり、別れを切り出してきたのでしょう。

驚きと衝撃

主人公にとって、それは突然の出来事だったに違いありません。

恋人が自分と居るために嘘をついて、我慢をしていたなんて思ってもみなかったことなのです。

隣にいる恋人の笑顔が心のまま、自然体のものでないなどと疑うことがあるでしょうか。

楽しく笑いあった思い出。その全てが嘘だったかもしれない。

当たり前だったものが、ガラガラと崩れ去っていくような衝撃を感じたことでしょう。

いままで貰ってきた愛情や優しさ、その全てが嘘だったのではないか。

主人公は全てを疑い、彼を信じる事が怖くなってしまったのです。

大きすぎる思い