10代から30代まで年齢を問わず幅広くファン層を持つWANIMA
WANIMAと言えば、疾走感あふれるメロディック・ハードコアが魅力。彼らの音楽が大きく広まるきっかけになったのは、かつてメロコア界のカリスマと呼ばれる横山健氏との出会いでした。
実はメロディック・ハードコアと呼ばれる音楽ジャンルは、WANIMAが活躍する以前にも存在していました。日本でメロディック・ハードコアがブームとなったのは1990年代のこと。The OffspringやGREEN DAYなどメロコアアーティストの世界的ヒットが続き注目を集める中、日本人のメロコアアーティストとして登場したのがHi-STANDARDだったのです。
Hi-STANDARD がリリースしたCDは、メディアへの露出が少ないにもかかわらず、次々と大ヒットを記録。こうしてHi-STANDARD は日本でもメロコアバンドとしての地位を不動にしていったのでした。
1990年代にHi-STANDARDでメロコア界をけん引した横山健氏は、1999年にインディーズのレコード会社PIZZA OF DEATH RECORDSを設立。WANIMAは、2014年の横山健氏のツアー『Summer Fags Tour〜P.O.D. LEAGUE〜』に参加することで一躍注目を集めることになるのです。
このような音楽シーンの流れをくみ取っていくと、WANIMAの奏でる音楽はかつてHi-STANDARDにはまった30代にとってどこか懐かしい音楽であり、そして現在10~20代の若者にとっては、久しぶりに見た斬新で尖った音楽に聞こえていることがわかります。
初めて手掛けた全国流通盤1st mini Album 『Can Not Behaved!!』
横山氏と一緒にツアーに同行することで実力を認められたWANIMAは、その後PIZZA OF DEATH RECORDSとレコード契約を結ぶことになります。そして、満を持して発表したミニアルバムがこの『Can Not Behaved!!』でした。
実はボーカルのKENTAさんやギターを担当するKO-SHINさんが10代のとき、夢中で聞いていた音楽がHi-STANDARD。文化祭でバンドを組みコピーをして演奏していた時期もありました。こうして長い時を経て、彼らはついに憧れのミュージシャンに認められ、夢の一歩を実現することになったのです。
メロディックパンクにとどまらない幅広い音楽性が魅力
WANIMAのデビューミニアルバムとなったCan Not Behaved!!に収録された曲は、全部で7曲。「Hey Lady」から始まるこのアルバムは、メロディックパンクを基調としているものの、レゲエやスカといった音楽が盛り込まれ、幅広い音楽性が楽しめるアルバムに仕上がっています。
「Hey Lady」でパワフルでアップテンポな音楽で魅せたかと思えば、男女の駆け引きをうたった「BIG UP」では渋くて艶っぽい大人のロックを、亡き祖父のことを歌った「1106」では、しっとり情感たっぷりに歌いあげる変幻自在ぶり。どんなジャンルの音楽も、自分のものとして表現してしまうその才能には、計り知れないものを感じます。
ストレートな日本語の歌詞が心に響く
WANIMAの歌詞の特徴のひとつに、一度聞いただけで口ずさんでしまうストレートな表現が挙げられます。メロコアバンドにありがちな英語の歌詞ではなく、日本語の歌詞で歌われているから、記憶に残りやすいのもメリット。
そしてWANIMAが歌い上げる曲は、落ち込みそうなときや泣きそうなとき、自己嫌悪に陥っているときに前向きになれる歌詞が多いことが特徴です。決して説教くさくなく、今の自分を肯定した上で、明日へ踏み出す勇気をくれるメッセージが魅力的なのです。その一例をご紹介しましょう。
Hey Lady!!!
飛びっきりの笑みで
新しい一日のはじまり
踏み出す一歩 恐れないで
もっと大胆に!!!
あっという間に過ぎる素敵な瞬間
出典: https://twitter.com/wanima_iikara/status/870949140141752320
はじまりの合図を鳴らす
昨日までを許し今日明日に
はじまりの合図を鳴らす
塗り替えて繰り返す日々
好きにありったけ花咲く未来
出典: https://twitter.com/mzn_siy/status/826007975949012994
これは、1曲目の「Hey Lady」の中に登場するフレーズです。思い通りにならない毎日を過ごしていても、過去の自分を許して、新たな気持ちで今日を過ごそうとそっと背中を押してくれる内容となっています。底抜けに明るいメロディーで歌い上げられるこの曲は、学校や会社に行く前に聞くと、前向きな一日が過ごせそうです。
冴えない顔で通勤ラッシュ
思い描いた未来予想図じゃないけど
限られた時の中で何を選ぶ?
出典: https://twitter.com/WANIMA_bot/status/841413205536645120
Hey Yo! アザケ笑う腰抜けほっといて
Are you ready?
君の出番
明日がくれば 今日は昨日の歌
Hey Yo! アザケ笑う腰抜けほっといて
昨日の歌
出典: https://twitter.com/WANIMA_bot/status/841413205536645120
これは、3曲目の「昨日の歌」の中に登場するフレーズです。通勤電車で揺られながら、理想通りに生きられていない自分。周囲が自分をちゃんと評価してくれないことにも、不満がつのります。
そんな中この曲は、準備はできた?これからが君の出番なんだよと教えてくれます。周囲の小さな評判ばかりにとらわれず、自分の選択次第で未来は変えられるということに、気づかせてくれるのです。
インディーズにしてオリコン4位を記録した傑作1st Album 『Are You Coming?』
1st mini Album 『Can Not Behaved!!』をリリースしてから1年。この年WANIMAはデビューしたばかりの新人でありながら、PUNKSPRINGをはじめ大型ロックフェスティバルに次々と出演し、ますます話題を集めることになります。そんな中リリースしたフルアルバムが、『Are You Coming?』でした。
アルバムは、リリース当日にオリコンデイリーチャートで1位を獲得する圧倒的な人気ぶり。この年WANIMAが大型ロックフェスティバルを席捲しながら、ロックファン以外の多くのファン層もとりこにしてきた人気を証明した瞬間でした。今回はそんなフルアルバムの中から特にWANIMAの個性が際立っている曲について、ご紹介します。