BUMP OF CHICKEN
メンバーは千葉出身の幼馴染4人組です。
ボーカル/ギターの藤原基央が作詞、作曲を手がけていますが、バンド内にリーダー的存在はいません。
メンバーが皆平等という、幼馴染同士だからこそできる仲の良い体制でバンドが運営されています。
そんな彼らですが、中学生時代はバスケットボール部の補欠で、陽のあたらない側の人だったそうです。
彼らは中学3年生の時に結束し、文化祭でバンド演奏をしました。
当時はビートルズのカバーバンドだったようですが、高校生になる頃には、グリーンデイなどのメロコアのカバーを行い、オリジナル曲を作るようになっていったようです。
数々のコンテストに参加し、1999年から2000年には『FLAME VEIN』『THE LIVING DEAD』の2枚のインディーズアルバムをリリースします。
彼らの音楽のルーツは何か?
1990年代の後半の音楽シーンは、グランジロックがオルタナティヴと呼ばれるようになり、メロコアやパンクロックからハードコア、ミクスチャーと音楽がよりリズム重視になっていた時代です。
ハードロックのテクニック志向をひっくり返したグランジロックは、同時に美しいメロディのある音楽に一時的な死をもたらしました。
もちろんメロコアなど流麗にメロディを奏でる音楽もありましたが、歌を綺麗に歌う理由がNIRVANAのカート・コバーンの歌唱とその死により壊れていました。
時代の悲痛さを歌ったカートの歌唱は、歌を美しく歌うことを奪い去る部分があったと思います。
BUMP OF CHICKENの藤原は、メロコアのカバーの後に、ハードロックを聴き、さらにそのハードロックのルーツであるサザンロックから歌うことを見出したそうです。
ハードロックは徐々に商業的な音楽になり、パンクミュージックやグランジによって、商業性が攻撃され、歌というものも一時的に失われていたと言えるでしょう。
でも藤原はハードロックのルーツにあるサザンロックやカントリーから魂と結びついている歌というものをとらえなおしたのだと思います。
古い音楽を探求することから歌というものを取り戻したアーティスト。
BUMP OF CHICKENとは、オルタナティヴ後の日本の歌の再生に繋がったアーティストだと思います。
BUMP OF CHICKEN「Butterflies」インタビュー (1/5) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
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BUMP OF CHICEN「グロリアスレボリューション」の英語ver.
音質は悪いですが、彼らがパンクやオルタナティヴといったロックに影響を受けているバンドだったことがよくわかるバージョンです。
でも彼らは英語で歌うのではなく、日本語で歌うことを選択します。
その結果、日本語ロックのオルタナティヴな形の原型が生まれたと言えるかもしれません。
「グロリアスレボリューション」のPV
インディーズ時代のアルバム『THE LIVING DEAD』に収録された「グロリアスレボリューション」は全編日本語詞です。
こちらのPVはYouTubeにはアップされていませんが、BUMP OF CHICKENのPV集『ビデオポキール』に収録されているようです。
「グロリアスレボリューション」の歌詞を聴く
胸を張って誇れるモンが 自分にどんだけあるのかって?
名前と誕生日と キュートな指紋ぐらいあれば充分だろう
そいつを さぁ 精一杯の大口で耽美(たんび)に語ればいい
ステージライトなんて ダイナモで充分だろう
呼吸をしてんだ 世の中のスミ 小さく でも確かに
言葉にするんだ ホラ いつまでつけてんだい? その自前の手錠をさ
グロリアスレボリューション
その手で何を掴むんだい? 殴るんだい? 何を掲げ上げるんだい?
出典: グロリアスレボリューション/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
自分に何があるのか?
それを見つけるのも人生だと思います。
でも彼らは、胸を張って誇れるものは、名前と誕生日と指紋で充分だと言うのです。
生きていることに理由はいらないと彼らは言っています。
そして呼吸をしていることがとても大切だと言うのです。
世の中の隅っこで生きていること。 そこから言葉を放つこと。
しゃべれない。歌えないという手錠をはずして、確かにしゃべり、歌いはじめるということ。
彼らもかつて隅にいた人間でした。
でも友だちがいれば、仲間がいれば、歌いはじめることができる。
それがBUMP OF CHICKENというバンド名の意味、"弱者の反撃"です。
弱音という名の地雷原を 最短距離で走ってこい
自信という名のスーツは 大層丈夫な造りだから
凡人の一般論は アイロンかけて送り返せ
震えてるのかい?そいつは武者震いだろう
出典: グロリアスレボリューション/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
かつてライトが当たる場所にいなかった彼らが、同じように隅っこにいる人々に、声をあげること。
歌うこと。伝えることを求めています。
逃げるためにいくらでも理由は言えます。
でもしっかりと自信を持ち、一般論なんか無視して、生きるのだと言っているのです。
グロリアスレボリューション
その目は何を見てきたの? 見ていくの? 見いだすの?
グロリアスレボリューション
その耳に何が聴こえるの? 「I'm a loser」?
願わくば「We are the champion」?
実は飛べるんだ その気になれば そりゃもう遠くへ!
放り投げるんだ その外したばっかりの
エラい頑丈に造っちまった 自前の手錠をさ
出典: グロリアスレボリューション/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
"栄光の革命"とはなんのことでしょうか?
イギリスの名誉革命のことではないと思います。
自分が飛べるということを知り、飛ぶこと。
そして自分で勝手に作り上げている手錠をはずすことです。
でもこの歌の最後で、自分にもまだ手錠はあるし、自由ではないことが歌われています。
そしてそれをリアリズムだとも言っています。
この歌の段階では飛びきれていない彼らがいます。
でもその飛ぼうとする姿勢がとてつもなく格好良いと思うのです。