名曲「銀の雨」はB面だった

松山千春楽曲の中でも名曲と評価の高い「銀の雨」ですが、意外にもメインのシングルレコードA面ではなくB面なんです(CDでいうところのカップリング曲ですね)。

裏面にあった名曲

でも、こういうことは特に70~80年代の楽曲には少なくないことなんです。

いつくか同じ例を挙げますと…

★欧陽菲菲/ラヴ・イズ・オーヴァー(1979年)―「うわさのディスコ・クィーン」のB面曲

★西田敏行/もしもピアノが弾けたなら(1981年)―「いい夢みろよ」のB面曲

★小林幸子/おもいで酒(1979年)―「六時、七時、八時あなたは・・・」のB面曲(TBS系ドラマ『母子草』主題歌

特に小林幸子/おもいで酒は当時としては大記録の200万枚以上のセールスを記録しています。

当然ですが、制作段階ではA面をメインとして売っていきたい意向なのだと思います。

ただA面、B面のどちらを好きになるかはリスナー側の感覚なので、曲の行く末は発表してみないとわからないものですね。

数回聴いてみてもその楽曲の魅力がわからなくても、長い間繰り返し聞くことによって本当の魅力がわかる楽曲も多く存在します。

晩成型のアーティストなどもそうなのですが、流行や時代背景も関係があるような気がします。

発表当時の時代には合わなかったけど、その後の時代に合った、ということもあると思います。

私がそばにいたら

貴方と暮らしたわずかな時間
通り過ぎれば楽しかったわ
これ以上私がそばに居たなら
あなたがだめになってしまうのね

出典: 銀の雨/作詞:松山千春 作曲:松山千春

あなたがだめになってしまう

あなたと暮らした時間はほんのわずかだったけど、今思い返せば楽しい時間だった。

あなたと一緒にわずかな時間しか過ごせなかったけど、これ以上私がそばにいたらあなたがだめになってしまうのね。

 女性目線の歌詞ですね。

ほんのわずかな時間しか過ごせなかったから幸せな思い出は少ないと思っていたけど、振り返ってみると短くても楽しい時間だったということなのでしょう。

そして、もっと一緒にいたいけど、これ以上いたらだめになってしまう……というよりは“私”がだめにしてしまいそうな気がするということだと思います。

なぜ“だめになってしまう”のかはわかりませんが、男性に比べて女性は現実的で冷静に物事を判断する傾向が強いいように言われています。

彼女は二人で一緒にいるとこの先“だめになってしまう”ことがわかったのでしょう。

すべてを女性に頼りきりになっている相手なのか。それを甘やかしすぎている女性なのか、いくつかの人物像がイメージできます。

【松山千春/銀の雨】聴くだけで号泣必至!自身の名曲の一つでもある楽曲の歌詞を徹底解釈!の画像

銀色に輝く雨に思いがよみがえる

いつの間にか降り出した雨
窓の外は銀の雨が降る

貴方のそばで 貴方のために
暮らせただけで幸せだけど
せめて貴方のさびしさ少し
わかってあげればよかったのに

出典: 銀の雨/作詞:松山千春 作曲:松山千春

【松山千春/銀の雨】聴くだけで号泣必至!自身の名曲の一つでもある楽曲の歌詞を徹底解釈!の画像

せめて少しだけでも…

いつの間にか降り出した雨が窓を打ち、光の反射で銀色に輝いて見える。

あなたのそばで暮らせただけで、あなたのために尽くしてこられたことは幸せだけど、私の幸せばかりであなたの寂しさを少しでもわかってあげられればよかった。

私は自分の幸せばかりを考えていたのかもしれない。

降り出した雨が窓辺で銀色に輝くのを見ていると、彼のことを考えてしまうのでしょう。

あなたのそばで暮らせただけで“私は“幸せだけど、あなたはどうだったのかな?ということを思い出している場面です。

(思い出してみると)自分のことばかりであなたのことを何もわかってあげられてなかった。今さらだけど、せめてあなたの寂しさだけでも少しわかってあげたかった。

二人に別れが来てしまうと過去のことをいろいろと思い出してしまうものです。

あの頃を思い出して、いつも寂しそうにしていた彼の姿が思い浮かべられてのではないでしょうか。

祈る心に銀の雨が降る

貴方がくれた思い出だけが
ひとつふたつ 銀の雨の中

ごめんと私にいってくれたのは貴方の最後のやさしさですね
いいのよ貴方について来たのはみんな私のわがままだから

貴方の夢がかなう様に 祈る心に銀の雨が降る
銀の雨が降る
銀の雨が降る

出典: 銀の雨/作詞:松山千春 作曲:松山千春

【松山千春/銀の雨】聴くだけで号泣必至!自身の名曲の一つでもある楽曲の歌詞を徹底解釈!の画像

最後の優しさとわがまま

あなたがくれた思い出だけが、ひとつ、ふたつと銀色の雨の中に見える。

あなたは別れ際に“ごめん”とあやまってくれたけど、それが最後の優しさなのね。

あやまらなくてもいいの。私があなたに勝手について来ただけ、全部私のわがままだから。あなたは悪くない。

あなたの夢がかなう様に心から祈っているけど、あなたと一緒にいることができない私の心にはいつも銀の雨が降っている。

銀の雨を見ていると、彼との思い出が蘇ってくるのでしょう。

いつも思い出すのはやっぱり“ごめん”という最後の言葉。思い出の中で、あれが彼の最後の優しさだったんだと改めて思っている光景がイメージできます。

今は遠くであなたの夢が叶う様に祈っているけど、祈るたびに一緒にいられない寂しさが募って心に銀の雨が降り続けている状態になっていることがわかります。