繰り返す日々に意味はなく、世界は色褪せている、と言っています。
明日にしか希望はないのに、その明日もまたつまらない日々の続きでしかないのです。
行き止まりのような、無力感さえ感じるような歌詞です。
pump upは水や空気を入れて膨らませるという意味です。
spit outは逆に、吐き出すという意味です。唾を吐くという意味でも使われます。
自分が誰なのかさえも分からなくなれば
枯れた心と世迷い言
何度目の半透明の幻想に欺かれた
the poor people 毒されて嘲笑う
書き殴ったオートメーションは
止めどなく流れるmentionに
埋もれてcrescendo
空になった何かを贖いたくて
足掻いた結果 変わらないステータス
出典: CITI/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:sasanomaly、ぼくのりりっくのぼうよみ
先ほどあった「曖昧な言葉」というフレーズ、そして「世迷い言」「書き殴った」「mention」、こうした言葉は、ネットの書き込みを連想させます。
悲しいことに、匿名であるのをいいことに他人を攻撃したり罵詈雑言を繰り返す幼稚な人たちがいます。
そうして何かを世の中に言ってやったつもりになっても、その人自身は何も変わらないのです。
この曲の歌詞は、そうしたインターネットの闇を描いているのではないでしょうか。
過激な言葉で攻撃するのは、もうやめよう。
可視化してない価値だけじゃ意味ない
価値観 判断基準が揺らいだ
曖昧に濁したバイバイに I like my one
って言えなかった大体が散乱
惨憺たる運命 気まぐれのアガペー
憐れみ給え この御霊で笑えば
ever 得られなかったレガシー
さえもこの手に crap crap going on
出典: CITI/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:sasanomaly、ぼくのりりっくのぼうよみ
この曲はかなり抽象的な表現も特徴だと思います。
アガペーとはキリスト教における神の愛、「無償の愛」を意味する言葉です。
その後の「憐れみ給え」につながる、宗教的な言葉ですね。
こうした単語を選ぶセンスに、ぼくりりの独自性を感じます。
作り笑いのストレスをトレース
オートで流れる音と同化
幸か不幸か 童話の中
俯瞰すれば勝ちならもうall over
持たざる弱者に好都合なshowtime
新しい黄金律に性懲りもなく執着
全肯定で前頭葉が麻痺したパラノイア
extremeじゃなきゃ感じないEcstasy
出典: CITI/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:sasanomaly、ぼくのりりっくのぼうよみ
ネットに書き込んでストレスを発散させる人は少なからずいます。
そしてその言葉はどんどん過激になり、歯止めがきかなくなっていきます。
何かに変質したような、誇大妄想を書き殴ったりするのです。正直、あまり気持ちのいいものではありません。
しかし、私たちが友人とネットでコミュニケーションを楽しんでいる横で、確実に起こっていることなのです。
砕けてcan't identify
明日を待ち続けcall it on
傷つける 当てもなく 止めどなく
消えた自分を取り戻す journey on
薄れてso far refraction flow...
誰かに罪の意識投げて
生き急ぐ 死に急ぐ 切り刻む
ありきたりな歌に消えて fadeout
出典: CITI/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:sasanomaly、ぼくのりりっくのぼうよみ
ネットで過激な言葉を垂れ流し、誰かを攻撃しても決して自分探しにはなりません。
一時はストレスを発散できても、そのために傷つく人たちがいるのです。
そんな不毛な行為でしか生の実感を得られない人がいるとしたら、それは悲しいことだと思います。
虚ろなour relationships
灯りもない闇の中を
走りだす 当てもなく 止めどなく
代わり映えのない日々 going on...
まだ癒えない傷 溢れてく水
どうしようもなく 割れた容器に注ぎ込む
枯れた花は誰のため?
"まだまだ足りない"
出典: CITI/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:sasanomaly、ぼくのりりっくのぼうよみ
割れた容器に水をやっても、花は枯れてしまいます。
意味のない、無駄な行為。それは、ネットで誰かを攻撃すること、ということではないでしょうか。
まだまだ、もっと、と言葉は過激になり、炎上が落ち着いたらまた次のターゲットを探す。
そんなことはもうやめよう、というメッセージがこの曲には込められている気がします。
これはあくまでも解釈のひとつでしかありません。皆さんはどう感じたでしょうか?
最後に
ぼくのりりっくのぼうよみの「CITI」について、ご紹介しました。
この「CITI」というタイトルは、実は「Creatures In The Internet」の略だそうです。
生まれた時からインターネットが当たり前に存在していたぼくりりのような世代にとって、ネットは創作の原点であり、インスピレーションの源なのだと思います。
「CITI」と3部作となっている、「sub/objective」、「Sunrise (re-build)」の記事もぜひ読んでみて下さい。
そして、最新作である『Fruits Decaying』もチェックしていただければと思います。
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