このエピソードからも、当時の椎名林檎がこの曲に強い思い入れを持っていたことがうかがえますね。

愛する人や街との別れを乗り越え、自分の信念や叶えたい思いの為に決意を新たにする。

そんな意志の強さを感じるこの曲に、自分の心情を重ねた女性もきっと多かったことでしょう。

だからこそ発表から20年近く経ったこの曲も、未だに多くの人に愛される1曲となっているのです。

5.歌舞伎町の女王

【幸福論】での鮮烈なデビューから、彼女の名をさらに広めることとなった曲。

それがこの2ndシングル曲でもある【歌舞伎町の女王】でしょう。

この曲にも、実は様々な逸話がたくさん残されています。

風俗街としても知られる東京都新宿区歌舞伎町からタイトルを取った楽曲で、福岡から上京したばかりの椎名が都内の上野のレコードショップでアルバイトしていた頃に水商売のスカウトマンに「君なら女王様になれる」と誘われたことから着想を得て制作された。この当時の椎名の作品の中では珍しく歌詞の内容が完全なフィクションであり、製作を終えた時点でも椎名自身はまだ歌舞伎町を訪れた経験が無かった。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/歌舞伎町の女王

【歌舞伎町の女王】を発売した当時、彼女はまだ19歳、20歳の少女でした。

しかしこの曲の醸し出す色気や妖艶さは、とても20歳の少女が作ったものであるようには思えません。

またこの曲をきっかけに、彼女の音楽が「新宿系」と呼ばれるようになったのも有名なエピソードですね。

こうして、女性シンガーとしての道を着実に歩み始めた椎名林檎

そんな彼女が、実は元々福岡ではドラマーでも活躍していたというのを皆さんご存知でしたでしょうか?

この【歌舞伎町の女王】では、実は椎名林檎自身がドラムも叩いているのです。

歌にギターに作詞作曲、そしてドラムやピアノなど多くの楽器まで。

当時から、彼女は類稀なるマルチな音楽の才能を遺憾なく発揮していたのです。

6.丸ノ内サディスティック

椎名林檎【ニュートンの林檎 ~初めてのベスト盤~】アルバム全曲解説!採れたてセルフカバーのお味は?の画像

そして今や、押しも押されぬ彼女の代表曲の1つである【丸ノ内サディスティック】

椎名林檎を知っている人で、この曲を知らないという方はきっといないのではないでしょうか。

彼女自身もソロや東京事変など様々な音楽活動の中で、多くのアレンジバージョンを発表しているこの曲。

にも拘わらず、実はシングルカットもしておらず、公式MVも存在しない楽曲なのです。

オリジナルバージョンとされているのは、先述のアルバム【無罪モラトリアム】に収録のもの。

彼女が敬愛していたバンド「BLANKEY JET CITY」に関連する歌詞が散りばめられた日本語詞の楽曲です。

また、後に発売された彼女のアルバム【三文ゴシップ】では英語詞の「EXPO Ver.」が。

そして本アルバムの初回限定盤にも同じく英語詞の「neetskills remix」が収録されています。

そしてこの曲は、なんといっても他のアーティストにも多くカバーされている楽曲です。

こうした別バージョンをいろいろと聴き比べてみるのも、この曲の楽しみ方の1つかもしれませんね。

7.ここでキスして。

そしてこちらもアルバム【無罪モラトリアム】収録のシングル【ここでキスして】

好きな人に想いを寄せる女性の切ない痛切な想いを綴った歌詞が、これまた多くの女性に刺さった名曲です。

彼女のような美人でも、順風満帆な恋愛をしてきたという訳ではないのですね。

この楽曲は椎名が福岡に住んでいた頃に書かれ、当時付き合っていた男性へのストレートな思いが綴られている。またデビュー前に活動していたバンドのメンバーに聴かせたところ「売れ線の曲だな」と言われたという。歌詞中の「シド」という名前が出ている。その名前の人物はセックス・ピストルズの二代目ベーシストのシド・ヴィシャスのことである。椎名は彼の大ファンで、「儚い少年みたいな人」と評価している。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ここでキスして。

また椎名林檎は、楽曲の中でしばしば自身が影響を受けた音楽の要素歌詞に散りばめています。

先述の【丸ノ内サディスティック】の歌詞にも、そのようなワードが織り込まれていましたね。

元々福岡にいた頃から、非常に多くの音楽に影響を受けてきていた彼女。

そんな彼女が影響を受けた音楽についても、こういったところから聴いてみるのも面白いかもしれませんよ。

懐かしの名曲…そして初回限定盤にはボーナストラックも!

8.ギブス

ここからの楽曲は彼女のの2ndアルバム【勝訴ストリップ】に収録のシングル曲が続きます。

まずは彼女の色気の溢れるMVが高い人気を誇っている【ギブス】

切なくも衝動的なバラードの雰囲気にとてもよく合う退廃的でファンタジー色の強いこの映像。

最初から最後まで思わず見惚れてしまう、という方も少なくないことでしょう。

例に漏れず、楽曲自体にも興味深い様々なエピソードが満載です。

本楽曲は椎名にとっては初のバラードシングルとなり、曲自体はデビュー前の17歳当時の交際相手に宛てて書かれたもので、デビュー当初からコンサートやイベントでは披露されていた。当初は1999年4月に発売予定だったが、椎名が体調を崩したために発売が延期された。その後、同年10月に発売する予定だったものの、椎名の意図により先に『本能』が発売されることとなった。「本能」に次ぐ自身2番目のヒット曲となっている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ギブス_(曲)

上記のような経緯があった為、このベストアルバムには【本能】より先に収録されているのでしょう。

さらにユニークなエピソードとして、この曲には椎名林檎以上に深く愛着を持っているとある人物が。