アルバム収録曲
ソロ活動2枚目の作品
楽曲テーマと登場人物
歌詞の内容を見ると、どうやら男女の恋愛が描かれているようですね。
この楽曲は親子の禁断の愛を描いた映画にインスパイアされて製作されたというのはファンの間で有名な話。
確かに歌詞を見てみると、そんな歪な愛が感じられるのです。
今回は語り手である僕を父親、僕が大切にしている君をその娘として歌詞の世界を読み解いていきましょう。
父親が娘に対して「親子の愛」を超えた感情を抱く理由、そしてそこまでして娘を縛りつける心理に迫っていきます。
僕にとっての君とは
父娘以上の関係
君を見つめると胸が痛い
守ってあげなくちゃ 壊れちゃうから
出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide
娘への並々ならぬ想いを語る父親が描かれています。
親子ですから、そこに愛情があるのは自然なことです。その愛がどんなに大きくても違和感はありません。
しかしここで描かれる父娘の関係性が歪んで見えるのは、その愛の方向性が原因でしょう。
歌詞からは「自分の娘を愛している」だけではないような雰囲気が漂っているのです。
それは父親の抱く愛情が、娘に対するものではなく1人の異性に対するものだから。
自分の愛しい娘が誰かに汚されることを恐れ、何とかして守り抜きたいと考えているようです。
薬の意味
君は知らないけれど
君は僕の薬さ
飲み込んでしまえるのは僕だけだろう
出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide
ここで父親は娘のことを「薬」だと表現しています。
薬といえば調子が悪い時に回復を手助けしてくれるもの。
薬が持つこの意味から考えると、君も僕の苦しさを和らげてくれる存在であると考えられます。
つまり薬とは、娘が自分に向けてくれる好意・僕を癒してくれる愛情のこと。
もちろんこの愛には、父親としての僕に向けられた「親への敬意」を含む愛という前提があります。
しかし僕にはそんなことなど関係ありません。
僕から君に向けた愛は父娘の関係を超え、異性に向けられたそれでした。
「僕」という一人称から想像できること
さらに父親の一人称が「僕」であることも、2人の関係性が異様であることを表現しています。
娘を「君」と呼ぶのなら、年齢が離れた父親の一人称は「私」でもおかしくはないでしょう。
しかしここではあえて「僕」と表記しています。これだと、父親にしては若すぎるように感じませんか?
しかし父親にとっての2人の心の距離を考えればこの表現が適切であるとわかるのです。
僕は父親としてではなく、君の恋愛対象としての自分を意識していました。
娘と同じ目線に立つ父親。それが「僕」という言葉に込められた想いでしょう。