どんな想い出も肯定する強さを手に入れた歌詞に注目
109 ドンキ FOREVER21 PARCO
大量生産大衆的
ホントは私 コンなとこでふわり
溶けていたいわけじゃない
カラコン まつエク ネイル
流行先端 排ガスまみれ
瞬きする間に変わる街
置いてけぼりそうあの時と同じ
街にもキミにも思い出を重ね
『エモい』で終りじゃダサいしな
出典: ShibuyaK/作詞:DAOKO 作曲:小島英也,DAOKO
渋谷の街を一人歩きながら思い出に浸ります。
街には一緒に過ごした人との思い出が染みついています。
それは移り変わりの激しい渋谷のセンター街でも同じことです。
しかし彼女は「エモい」で終わりにはしないと言います。
渋谷交差点 初体験都会
渋谷交差点 キミと来たね
渋谷交差点 大嫌いだった
今じゃなんだか安心する
渋谷交差点 呼吸する街
渋谷交差点 生きるニューシティ
渋谷交差点 今日も独りで
帰る場所はここ 愛してる
出典: ShibuyaK/作詞:DAOKO 作曲:小島英也,DAOKO
第5位『拝啓グッバイさようなら』
『ありがとう』と『さようなら』が同居した世界
今日でおわりにしよう
なんとなく生きてきた昨日まで
今日でおわりにしよう
なんとなく吸う息の根を止めて
拝啓グッバイさようなら
昨日の僕は殺した
拝啓グッバイさようなら
新しい朝がくる
僕のために
出典: 拝啓グッバイさようなら/作詞:DAOKO 作曲:多保孝一,TAKU INOUE,DAOKO
DAOKOは高校生の頃から自覚的に表現者として生きてきました。
従ってなんとなく生きてきた訳ではないでしょう。
彼女はこの曲を収録している「THANK YOU BLUE」で様々な経験を積みます。
米津玄師との「打上花火」の大ヒットに始まり、岡村靖幸、D.A.N.とのコラボ。
トラック製作もTha BLUE HERBのO.N.O.など他者との共同作業が増えます。
DAOKOは孤独な電脳世界のラッパーから卒業していたのです。
彼女の周囲には様々な大人たちが増えていきます。
昨日の自分を殺して新しい朝を迎える時が来たのです。
幸せは前借りなんだ
散らかっていたとしても
とりとめないのがボクだから
誰かのようにはなれないや
おまじない ただのおまじない
救ってくれるなんて大間違い
おまじない ただのおまじない
願っていたんだ
出典: 拝啓グッバイさようなら/作詞:DAOKO 作曲:多保孝一,TAKU INOUE,DAOKO
今の幸せはDAOKOにとって前借りなのですね。
いつまでも続くと思うことは無自覚に生きてきた昨日までのこと。
それでもおまじないをしたいほど不安なのでしょう。
繰り返しリフレインされる「大丈夫」は自分自身に言い聞かせるおまじないなのです。
救ってくれる人たちへの「ありがとう」。
昨日までの自分への「さようなら」が同居した素晴らしい歌詞です。