今までの自信に満ち溢れた歌詞とは、様子が異なることが気になりませんか。
どんな問題でも解決できると豪語する彼女にしては、少々歯切れが悪いです。
この様子から、上記の歌詞は怪異とは別の事柄についてだと検討がつきます。
どんな問題でも思い描いた通りに解決できる彼女ですが、こと恋愛においてはそうもいきません。
恋愛ではいつの時代も「惚れたほうの負け」。
桜川九郎が相手だと、彼女のほうが不利になるのです。
相手より自分の気持ちのほうが大きいと思っているので、不安を感じることもあるのではないでしょうか。
それでも、この関係をいつまでも続けるために努力し続けようと決意していました。
自分の強み
誰かより不器用でもね
私には私なりの輝き 見つけたら
光に任せて
出典: モノノケ・イン・ザ・フィクション/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
すべてを上手にできる人はいません。
ですが、得意なことは誰にでもあるはずです。
その得意なことこそが「輝き」、すなわち「光」を表していました。
「光」は、最速で目的地へ到着できます。
上記の歌詞は「できないことを嘆くより、自分の得意なことを利用して目的を果たそう」という意味です。
琴子はもちろんのこと、多くの人に当てはまるメッセージとなっていました。
桜川九郎の目線
普通の人間との相違
心中 警戒 絶後 消失 如来像
虚構 徹頭 徹尾 真実 風来
モノノケトケモノ
ヒトの終わりを知る
出典: モノノケ・イン・ザ・フィクション/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
1行目と2行目は、他者から見た琴子についての描写として使われていました。
つまりここからはさらに別の登場人物、すなわち桜川九郎の目線になることを表しています。
「ヒトの終わり」とは、「死ぬこと」にほかなりません。
人は死ぬものなのだから、死なない自分は人とは違うと思っているのではないでしょうか。
他者との間に明確な壁を感じているようでした。
特別な存在
ただ凍てついていたこの心の
扉が開くようなあの音を聴いてよ
出典: モノノケ・イン・ザ・フィクション/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
「凍てついていた」という言葉は、自分は他の人間とは違うと感じていたさまを表しています。
ですが過去形であることからわかる通り、今はそう思っていません。
なぜなら、心のドアを開けてくれる人物に出会ったからです。
「あの音」とは、2番で歌われていた琴子の「溢れる言葉」を表しているのでしょう。
彼女は、九郎にとって特別な存在といえます。
君と掴むよ
失くさないように
大事だと 何度でも
出典: モノノケ・イン・ザ・フィクション/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
「君」とは、琴子のことを表しています。
九郎にとって未来とは、琴子と共に勝ち取るものでした。
自分1人では到達できない未来でも、彼女と一緒なら手に入れることができます。
「何度でも」という単語で、何回死んでも彼女のために尽力する意思を表現していました。
琴子は自分で思っている以上に、彼に大切にされているのです。
岩永琴子の覚悟
今、走る言葉がつまづいても
くだらない話でもちゃんと聞いてよ
例え細くても ほどけないように
出典: モノノケ・イン・ザ・フィクション/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
一人称で「私」が使われているため、再び琴子の目線になったことがわかります。
琴子が話を聞いてもらいたい人物といえば、九郎以外には考えられません。
彼との運命の赤い糸が切れないように、努力し続ける覚悟を決めていました。