あなたの横顔からは何かがあふれています。

それは愛に似ているのですが、愛と認めるのが怖いのです。だから掬い上げることができずに、時間が流れ、終わりを告げてしまったのです。

日常に身をゆだね

揺れる 揺れる 空っぽなまま揺れる
自分という器の中 何もなくて退屈だなあ
倦怠と空虚 意味ない善悪と躊躇
浅はかなままで街に身をゆだねていく

出典: 朝焼けと熱帯魚/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:ぼくのりりっくのぼうよみ

自分が何者かわからないまま、時間の流れに身を任せてしまうことはありませんか。

もしかしたらそれが日常なのかもしれません。

自分は確かにここにいて、ここに立っているのに、自分の中には何もないのです。何か探そうとしても、退屈しか感じられないのです。

そうすると倦怠感を覚え、むなしさを感じ、意味の無い善悪を判断したり、躊躇したり。そんな状態で街の中に身を投じていくのはどんな気持ちでしょうか。

あなたの心が欲しい

名前も知らないあなたがいた
言葉なんて無くて構わなかった
疑わないで今日も 飲み込んだよ色々
いつかは心までくれるかなあ

出典: 朝焼けと熱帯魚/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:ぼくのりりっくのぼうよみ

そこにいたのは顔だけ知っているあなたでした。名前は知りません。きっとあなたも僕の名前を知らないでしょう。しかしそこに言葉は必要ないのです。

何かを疑うこともせず、いろいろなことを飲み込んでいかなければならない今日という日。あなたという存在さえも飲み込んでいきます。

そうしていくうちに、あなたの心が手に入れば至福なのです。

熱帯魚のような色が欲しい

触れる 触れる あなたの手が触れる
灰色の景色のまま 愛せるのは退屈だなあ
旋回後急降下して熱帯魚みたいに宙を舞う
ユートピアみたいな朝焼けのバビロン

出典: 朝焼けと熱帯魚/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:ぼくのりりっくのぼうよみ

あなたの手は確かに僕をとらえ触れています。しかし僕の心は灰色のままです。そうすると、そのまま愛することが退屈に思えて仕方ありません。毎日同じことの繰り返しで、退屈に変わってしまったのかもしれません。

ここで言う「ユートピア」は「理想郷」のことです。

「バビロン」は古代都市のことで、「神の門」という意味を持ちます。

紀元前3000年期末に登場したといわれる都市で、ユーフラテス川を挟んで発展しました。

そんなユートピアを今は亡き都市・バビロンに重ね、鮮やかな熱帯魚のようにぐるぐる回る世界を夢見たのかもしれませんね。

今も満たされない思い

笑ってよもっと ほら笑ってよもっと
目を刺すくらいの日差しがほら見てるよ
笑ってよもっと ほら笑ってよもっと
目を刺すくらいの日差しがほら見てるよ

求めるだけで欲しいものが手に入るなら
あなたの声で 満たしてほしかったなあ

出典: 朝焼けと熱帯魚/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:ぼくのりりっくのぼうよみ

眩しいほどの日差しに、僕は目を細めています。目を細めるぐらいしかない日差しの下でも、あなたは笑ってくれないのです。だから2回繰り返すことで、お願いを強調しているんですね。

もし求めるだけで何か手に入れられるのなら、僕はあなたの声で心を満たしてほしいのです。

夏が終わって

移ろいゆく記憶が癒していく
隣にやっと秋がめぐって
あなたは綺麗に消えた さよなら

つかの間の絶望を
甘受して おやすみ
あなたとの思い出を
夢の奥底仕舞いこもう

出典: 朝焼けと熱帯魚/作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ 作曲:ぼくのりりっくのぼうよみ

僕はやっとあなたと別れることができました。緑色の夏が終わっても、僕の心はまだ満たされたいと願っていました。

しかしようやく僕の心には秋が巡ってきたのです。

それはかつてあなたと過ごした記憶が僕をいやしてくれたからです。そうして秋があなたを綺麗に消し、さよならを告げることができたのでしょう。

あなたを失うことでつかの間の絶望が襲い掛かっても、それを甘んじて受け入れる。そして想い出は夢の奥に仕舞いこみ、ふとした時に思い出せればいいのです。

MVがすごい!

「朝焼けと熱帯魚」はMVが公開されています。

グレートも白ともいえない球体が割れて歌が始まります。

MVは球体だったり、立方体だったり、様々な形が入り混じって、また球をなしていきます。

時に光を放ち、時に赤い背景の中に暗闇となっていったり、歌詞を交えながら進んでいきます。

そして光に伸ばされた手、女性の後ろ姿、壊れる熱帯魚。

球体や砂時計をさらに交え、光の演出を所々に交えながら、どこか幻想的で、どこかファンタジックMVとなっています。