君に比べて歩幅の大きい僕は、並んで歩いていてもついつい先へと進んでしまう。

だけどそれすら愛おしい。

君がいる景色を見ることができるから。

君のいる景色、君のいる世界を大切に感じていることが伝わってきます。

まだ雪は降らない

まだ乾いたままの 空のカーテンに
二人で鳴らす 足音のオーケストラ
ほら夢物語 叶う前だって
笑顔は君がくれる
そんなの わかってる

出典: スノースマイル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

雪のない乾いた舗道では足音は響きます。

それだってオーケストラに感じる、完全に二人きりの世界です。

だけどそこまで相手を意識するには何か”理由”があるのでは?

「そんなのわかってる」の一言は、これまであふれていた幸せオーラを断ち切るようにも聞こえます。

夢物語は叶わない

冬が深まる季節もその先も、ずっと二人平行線で歩んでいくという「夢物語」はどうやら叶わない。

君の笑顔が僕の背中を押してくれたようです。

二人が未来へ進むためには「別れ」が必要だったのです。

僕の右ポケットにしまってた思い出は
やっぱりしまって歩くよ
君の居ない道を

出典: スノースマイル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

いつも二人で歩いていた道を一人で歩く。

季節が巡って寒さを感じる季節になっても僕は君のことを考えています。

そしてかつて僕のポケットにお招きした君との思い出を思い出しながら、一人歩くのです。

初めから別れの決まった二人の歌とも感じるラスト

歌詞を順番に読み取っていくと、幸せだった日々、だけど別れを選んだ男女の回想のようにも聞こえます。

だけど、こんな風にも聞こえませんか?

別れが決まった二人が寂しさを抱えながら歩く歌。

別れの時が決まっているから手を繋いでいたい。

黙っていると涙が出そうだからおどけで落ち葉を蹴飛ばしてみる。

君の居る景色は見納めだから、時間をかけてみておきたい。

別れの時を目の前にして、なるべく普段通りに過ごそうとする二人の歌、そんな風にも聞こえます。

本当は雪の季節だってその先だってずっと二人で歩いていたかったけど、おそらく君(彼女)の決断により二人はいつまでも一緒に歩くわけにはいかなくなった。

前向きなお別れだったであろうけれど、寂しい別れの歌。

雪の中二人笑っているのは初めから叶わない夢物語だったのです。

この曲が好きな人へのおすすめソング

BUMP OF CHIKENの歌には別れのシーンが多く歌われています。

しかし「スノースマイル」のように前向きな別れが多いようにも感じます。

ベル「車輪の唄」、「ダンデライオン」などシーンや語り手は違いますが別れを歌う歌がたくさんあります。

ここではもう一曲、「車輪の唄」を紹介させてください。

車輪の唄

この曲は別れを惜しむ最後の瞬間を歌った1曲です。

男女の別れとも、親友との別れとも取れる歌詞ですが、お互いが大切に思い合っていることが伝わってくる優しい別れの歌です。

BUMP OF CHICKENの中にある「別れ」

「天体観測」から「記念撮影」まで

スノースマイルの歌詞を解釈すると…BUMP OF CHICKENの作り出す世界観が詰まった1曲!の画像
上に上げた以外にも、BUMP OF CHICKEN楽曲には「別れ」の存在を感じさせるものがとても多いです。
ブレイクのきっかけとなり、その後も愛され歌い継がれている代表曲「天体観測」。
この曲もまた別れを示唆するイメージを含んでいる一曲です。
かつて共に流星を見に行った大切な人。
それは今は自分のそばにいないということが、歌詞からは読み取れてきます。
大切な人に送れなかった手紙や、遠くにいる人に呼びかけるような歌詞。
もしかしたら共に天体観測をしたその日も、ふたりには別れが待ち受けていたことがわかっていたのかもしれません。
ブレイクしたその時からずっと、BUMP OF CHICKENにとって「今」と「別れ」は共にあるのです。
そうした姿勢は活動を続けてきた今も変わらないもの。
後ほど紹介する「記念撮影」もまた、「いつか別れが来る今」を描いた一曲です。
「終わる魔法」という美しい言葉。
いつか終わり、別れがくるからこそ美しく輝く今という一瞬が瑞々しく描かれています。
BUMP OF CHICKENにとって、別れは常に今という時間のそばにあるものなのです。