『きのこ帝国って知ってますか?』
きのこ帝国とは、2007年に大学の同級生同士で結成した4ピースバンドです。
従来のロックとは異なる音色で存在感をアピールし、2012年にはインディーズデビューを果たし、2015年メジャーデビューしている今注目のJロックバンド。
揺れて流れるようなメロディが癒しと勢いを生んでくれる
まずイントロから受ける衝撃を感じていただけましたでしょうか?スロービートなのに力強い演奏、そこに勢いを感じずに入られません。
そしてボーカル佐藤千亜妃さんの静かで透き通った声、語りかけるように耳に突き刺さる感じが癖になったファンのかたも多いのではないでしょうか?まさに海の中、それも深海にいるような気分にさせてくれます。
曲は一貫して同じループを繰り返して聴き手を引き摺り込んでいきます。
そして気がつけば思い切り深いところで自分一人にだけきのこ帝国が演奏してくれているような錯覚を起こしてくれます。
どれだけ深海に落ちたとしても一人じゃない気持ちにさせてくれます。
聞けば聴くほどにその魅力が伝わってくる、きのこ帝国の代表曲にふさわしい一曲ですね。
『歌詞で読み解く海と花束の世界』
伝えたいことなど とっくのとうに無い
錯覚起こしてる ただそれだけなんだよ
ごめんね ごめんね これでもう忘れよう
花束抱えて 海へと向かった
最初で最後の 他愛ない約束をしよう
きっともう会えないから 僕たちはいつも
叶わないものから順番に愛してしまう
ごめんね ごめんね これでもう最後さ
伝えたいことなど とっくのとうに無い
錯覚起こしてる ただそれだけなんだよ ただそれだけなんだよ
出典: 海と花束/作詞:佐藤 作曲:佐藤
短い歌詞に凝縮された断ち切れない想い
この曲の歌詞を読んだ時に筆者が思ったことは、もう終わった関係に対する「未練」でした。
ですがずるずる引きずっているわけではなくて、一度自分の中で整理はつけたけども、それでも忘れられない思い出が引っかかっていて、ここの中で邪魔をしているような。
新しい一歩を踏み出さないといけないとわかっているけど、あと少しの勇気が欲しくて、だれかに背中を押してもらいたいような。
もう一度あなたに会うことができればちゃんと心の整理ができているのか確認できるから、だからもう一度会いたい。
そんな感じの未練を感じてしまいます。
分かってはいるんだけど、それでも葛藤している自分を抑えられない
冒頭の「伝えたいことなど とっくのとうに無い 錯覚起こしてる ただそれだけなんだよ」の部分では、本当はもう一度会いたい大切な人に対して、理性の部分の自分が、会いたいと錯覚させてるだけなんだと、言い聞かせているように思います。
伝えたいことなどとっくのとうにないという文面から読み取れるのは、ずっと前に気持ちの整理はつけたはずと、自分に言い聞かせているんじゃないでしょうか?そんな葛藤にも似た気持ちが読み取れる文面になっていますね。
ごめんね、ごめんね、これでもう忘れようの部分では、その大切な人に対しての申し訳なさが伝わってきます。
自分でもわかってるのに会いたい気持ちが止められないことに対してのごめんねと、これで最後にするから、最後にもう一度だけ、こんなワガママを言ってしまってごめんね。
そう言っているように感じてしまいます。
簡単に着かない心の決着を描いている
人は自分の気持ちに整理をつけた気になっては、またそのことを思い出して後ろ髪を引かれるような思いをしてしまいます。
この曲はそんな人の素直な部分を、理性きかせないといけないのにできない部分を歌っているように思ってしまうのです。
花束抱えて 海へと向かった
最初で最後の 他愛ない約束をしよう
きっともう会えないから 僕たちはいつも
叶わないものから順番に愛してしまう
出典: 海と花束/作詞:佐藤 作曲:佐藤
花束抱えて海へと向かったの部分では、前途で書きました申し訳なさから大切な人に渡すために用意したのだろうなと思ってしまいます。
冒頭の歌詞で伝えたいことはとっくにないと思っているのに会いに行くわけですから、何かきっかけが必要だったんでしょうね。
それともその人を喜ばすために用意したプレゼントでしょうか。
いずれにしても、会うためのキッカケに花束を用意したんだろうということが伺えます。