コブクロ『太陽』
日本を代表するフォークデュオ、それがコブクロです。
太く包み込むような歌声が特徴的な黒田さんと、ハイトーンが特徴的な小渕さん。
そんなバランスの取れた2人が奏でる音楽は、多くの人々の心を揺さぶり続けています。
甘酸っぱい恋愛ソング
今回ご紹介する『太陽』という楽曲は、コブクロ5枚目のシングルに収録されています。
インディーズ時代から大切にされてきた、アップテンポなナンバーです。
この楽曲の歌詞は物語調であることが特徴的なのですが、なんとこれは実体験だそう。
作詞作曲を担当した小渕さん自身がモデルだそうで、揺れ動く心模様が鮮明に描かれています。
では早速、その歌詞について詳しくみていきましょう。
主人公にとって君の存在は…
周囲を照らす温かい存在
あの夏の太陽 追いかけ裸足で 走った
遠い町から来た 君は 僕の太陽
出典: 太陽/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
物語は照り付ける日差しが眩しい、とある夏の日から始まります。
1行目、太陽を追いかけるとはどういうことでしょうか?
太陽がある方向に向かって走り出す、という青春ドラマのような1シーンが浮かびますね。
しかしここでは、空でわたしたちを照らす太陽のことを指しているのではありません。
2行目にある通り、君のことを太陽に例えているのです。
人を太陽に例えるとは、一体どういうことでしょう。
実は太陽は、君の存在そのものととてもよく似ているのです。
詳しくは、この後に続く歌詞とともに見ていきましょう。
近づきたいのに
たぶん空から 降ってきたのだ それが夢でも見ているか?だよ
他の娘たちに 失礼だけど しかし こうも違うものか?
話したいけど 話題が無くて 隣の席が 遠く感じてた
でも君のこと もっと知りたくて イタズラばかり
出典: 太陽/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
太陽のような君の存在に出会ったことは、主人公にとって非常に印象深い出来事だったのでしょう。
普通に考えても、人が空から降ってくるなんてありえません。
しかしそのありえない事が起こったかのような衝撃を受けたことが、1行目の歌詞から存分に伝わってきます。
君とそれ以外の人たちを比べることに後ろめたさを感じつつも、そうせずにはいられない様子の主人公。
それほどまでに君との出会い、そして君の存在そのものが主人公にとって大きなものなのだとわかります。
しかしここまで思い入れがあるはずの君に対し、主人公はまだ心を開ききれずにいるようです。
3行目で描かれているとおり、君との距離はなかなか縮められていない様子…。
そして同じく3行目後半からわかるのが、主人公と君が学生であるということ。
暑い夏の日、小さな教室の中で繰り広げられる甘酸っぱい出会いの物語。
なんだか胸がキュンキュンしてしまいます。若さ溢れる恋愛模様から、もう目が離せません。
そんな若々しい主人公は4行目、恋愛あるあるともいえる行動に及んでいます。
それがイタズラ。太陽みたいな君の存在に、心を鷲掴みにされた主人公。
近づきたいのにうまくいかないもどかしさから、気を惹くためのちょっかいを出し始めました。
相手からしてみればいい迷惑ですが、照れ隠しのイタズラさえもなんだか愛おしく思えますね。
ただお喋りがしたいだけなのに
普通に話せるのは 夢の中でだけ・・
あぁ 胸が苦しいよ 愛とか恋とか まだ良くわかんなかったけど
出典: 太陽/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
心の距離がなかなか縮まらない主人公と君。普通のお喋りさえままならないようです。
しかし1行目にある通り、夢の中に出てきてくれる君となら上手に話せる主人公。
夢の中の自分になれたらいいのに…。そんなもどかしさを抱えながら、日々夢と現実を行き来しているのでしょう。
そして先ほども書いた通り、主人公はまだ若い学生。
大人にとっても難しいテーマである「愛」や「恋」のことなんて、わかるはずがありません。
それでも心が揺れ動いたり、ギュッと掴まれたり、嬉しくなったり悲しくなったり…。
その感情の動きがきっと「愛」や「恋」なのだ、ということはわかるのでしょう。
胸の苦しさが身体的な異常ではなく、精神的なものだということは理解しているのかもしれません。