君の住む街は今
どこか知らないし
僕の住む街も君は知らないけれど
多分屈託のない笑顔で
欠伸でもしてる
出典: 幸せが溢れたら/作詞:川谷絵音作曲:川谷絵音
現在の「君」を思い描いている歌詞です。
昔は「大人になったら結婚しよう」と言っていたほど親密な仲だったのに、
今はお互いが住む場所さえもわからなくなってしまったようです。
それでも「君」の「屈託のない笑顔」や「欠伸」などの表情は今でも忘れられないことがこの部分から分かります。
昔と変わらない「君」でいて欲しいと願う思いが「多分」という言葉に表れているのではないでしょうか。
「もうあなたを殺してしまう」
涙を流した君は
僕のことを強く抱きしめた
もう壊れてしまうとわかった
途端に僕は逃げ出した
ずるかったな ずるかったよな
出典: 幸せが溢れたら/作詞:川谷絵音作曲:川谷絵音
自分の病に苦しむ「君」の様子が描かれています。
「もうあなたを殺してしまう」という表現はインパクトがあって驚いた方も多いのではないでしょうか。
病によって自分の記憶から「僕」がいなくなってしまうことを「殺してしまう」と表現したのだと思います。
大好きな人を忘れることが怖くて強く抱きしめた「君」。
しかし「僕」はそんな君の思いに答えることができず逃げ出してしまいます。
病のことをどうすることもできない無力さや、「君」の愛に対する重圧がきっとあったのでしょう。
自分だけ逃げ出してしまった罪悪感と後悔の気持ちが最後の「ずるかったな ずるかったよな」の歌詞から伝わってきます。
君の幸せが溢れたら少しだけ
許されるような気がしてしまうよ
噂話でも流れるの待ってるよ
微睡みながら思い出す
出典: 幸せが溢れたら/作詞:川谷絵音作曲:川谷絵音
曲のタイトルである「幸せが溢れたら」という言葉がこの部分で出てきます。
「君」がどこかで幸せに過ごしていて欲しいと願う歌詞です。
逃げ出してしまった罪悪感を今でも背負っていて、その思いから救われたい「僕」。
日々の生活を送りながら「君」の幸せな「噂話」が流れるのを気長に待っていることが伝わりました。
「もうあなたを殺してしまう」
「もうあなたを忘れてしまう」
浮かび上がる涙声のセリフ
もう今更遅いのはわかってる
だけど今でも好きだと伝えたい
それだけだよ それだけなんだよ
出典: 幸せが溢れたら/作詞:川谷絵音作曲:川谷絵音
「君」が涙ながらに言った「もうあなたを殺してしまう」「もうあなたを忘れてしまう」という言葉を思い出しています。
歌詞では「忘れてしまう」→「殺してしまう」の順番ですが、
この部分では「殺してしまう」→「忘れてしまう」となっていることに気付きました。
過去を順に回想している様子を表現するために、あえて順番を逆にしたのではないでしょうか。
「セリフ」という部分からも心に残ったドラマや映画のセリフのように、
「君」の言葉をはっきり覚えていることが伝わります。
ここまでの歌詞では過去の回想や現在の想像が描かれていて、
今「僕」が「君」をどう思っているのかは分かりませんでしたが、
この曲の最後で今でも「僕」は「君」が好きなことが分かりました。
いろいろな思いを抱えているけれど「君」に伝えたいことは「好き」な気持ちだけだと伝わり、
「君」を大切に思っていることが強く表現されています。
「溢れたら」伝わる
「幸せが溢れたら」という曲のタイトルを考察してみました。
「溢れる」はその場に留まらず周りにどんどん広がることを意味していると思います。
例えば、コップに入れた水が溢れたときも周りに水が流れていきますよね。
タイトル「幸せが溢れたら」にはコップから溢れた水のように「僕」のところまで伝わるくらい、
「君」が幸せに過ごしていて欲しいという思いが込められていると感じました。
歌詞では「僕」が「君」との過去を思い出し、現在の「君」について思いを巡らせている様子や、
「君」から逃げてしまった罪悪感が描かれています。
歌詞と併せてタイトルも考察してみると、「君」を大切に思う気持ちが強く伝わり、
もう戻ることができない過去に対して切ない気持ちになりました。
過去の恋を思い出すのは悪いこと?
この曲のテーマは過去の恋。
好きだった人を今でも忘れられないという方も多いのではないでしょうか。
結婚していたり、恋人がいる場合、過去に好きだった人を思い出すことは悪いと感じるかもしれません。
ですが、過去の恋の思い出に浸ることで、日頃忘れがちな純粋な気持ちを取り戻すきっかけにもなりますし、
今自分の側にいてくれる人を大切にしようと改めて思うことができると思います。
たまには過去の恋をこっそり思い出してみましょう。
PVをご紹介します
ストーリー
ある日、駅のホームで偶然学生時代の恋人と再会するところからストーリーが始まります。
反対側のホームで彼女を見つめながら、昔の恋人の表情や病気を打ち明けられたことを回想している「僕」。
「いろんなことを忘れていってしまう」と泣きながら話す「君」に戸惑い、逃げ出してしまったことも思い出しました。
大人になって再会することができ、もしかしたらまだ自分のことを覚えているかもしれない...。
と淡い期待を胸に彼女の元へ向かいますが、同時にやって来たのは彼女の新しい恋人でした。
「僕」のことは見向きもせず、別の人に笑顔で向かって行くシーンはとても切ないです。
「君」への様々な思いを抱きながら、最後には「僕」自身も今付き合っている恋人と一緒に歩き出すのでした。