アルバム「悲しいほどお天気」の収録曲

【DESTINY/松任谷由実】この曲の人気に火をつけたドラマ『季節はずれの海岸物語』とは?歌詞ありの画像

「DESTINY」は、松任谷由実1979年にリリースしたアルバム「悲しいほどお天気」に収録されています。

このアルバムでは、それ以前のアルバムから引き続き、夫である「松任谷正隆」をはじめとする「ティン・パン・アレー」関連のメンバーバンドとして従えています。

プロデュース集団「ティン・パン・アレー」

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「ティン・パン・アレー」とは、1970年代初頭に活動していた伝説的ロックバンド「はっぴいえんど」を解散したばかりの細野晴臣を中心として結成された、音楽プロデュース集団です。

「はっぴいえんど」で同じくギターを担当していた鈴木茂、そこにドラマーの林立夫、キーボーディストの松任谷正隆を加えた四名によるチームで、何組ものアーティストのバックで演奏を担当しています。

この「はっぴいえんど」および「ティン・パン・アレー」関連の人脈は、その後の80年代日本音楽史においても非常に重要で、さらには、そこから繋がるJ-POPの礎になったと言っても過言ではありません。

近藤真彦松田聖子などに代表されるアイドル歌謡や、ニューミュージック系の様々な名盤、テレビ番組の音楽に至るまで、さまざまな音楽になんらかの形で関わっています。

「DESTINY」はドラマの主題歌

1979年のアルバムリリースから数年経過したのち、本曲はフジテレビ系ドラマ「季節はずれの海岸物語」主題歌となりました。

「季節はずれの海岸物語」は、1988年から放送が開始されたスペシャルドラマのシリーズで、年に2回~3回のペースで毎年放送されていた、海と恋愛をテーマにしたドラマです。

当時の若者文化を象徴するように、ドラマの挿入歌ではサザンオールスターズ松任谷由実楽曲が多数使用されて、その中でも主題歌である「DESTINY」はそれを代表するような曲として扱われていました。

「季節はずれの海岸物語」の舞台は海沿いにある喫茶店

このドラマの舞台となっているのは、湘南の海岸にほど近いところにある喫茶店です。

古き良き80年代を思わせる、「喫茶店」という呼び名がふさわしい雰囲気のあるお店では、「圭介」という、決して端正とは言えない風体をした優しい青年がオーナーを務めています。

ストーリーには毎回ゲスト出演の女優が登場して、圭介が抱くひと夏の恋心と、それにまつわるさまざまな人間模様を描いたストーリーが人気となっていました。

「DESTINY」の歌詞をチェック!

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彼を本当に愛していた彼女

ホコリだらけの車に
指で書いた True love, my true love
本当に愛していたんだと
あなたは気にもとめずに
走りだした True love, my true love
誰かが待ってたから

出典: DESTINY/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

曲の冒頭、愛していた彼は私の知らない「誰か」のために、私の存在すら見えていないかのように、すんなりと走り去ってしまいます。

この二人は一緒の時を過ごしていたんでしょうか。「ホコリだらけの車」という言葉から、それまでの二人の生活が見えてきます。

また同時に、この「ホコリ」は「二人の間で知らないうちに積もってしまったもの」を象徴しているようにも思えて、それは、彼にとっては「洗い流したい過去」になっていたのかもしれません。

彼にまた会えることだけを生きがいに暮らす日々

冷たくされていつかは
みかえすつもりだった
それからどんな人にも心をゆるせず
今日わかった また会う日が
生きがいの悲しいDestiny

出典: DESTINY/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

「DESTINY」とは「運命」。それでもやっぱり彼のことが忘れられない彼女は、彼にまた会う日を生きがいに、これも私の運命だと受け入れ、日々を過ごしていきます。

彼以外の男性には心を許せずにいる、若くて、すこし頑固な女性の姿が想像できます。

それほど彼の存在は大きく、忘れられないものになっていました。