「indigo la End/蒼糸」のワンカットMVは枝優花監督＆弓ライカと椎名美月が出演！歌詞解釈

恋をしなければよかったのかもしれない、という後悔は短絡的で安易です。

馬を早く走らせるために「目の前ににんじんをぶら下げる」といいますよね。

浅はかすぎる後悔は、目の前にデザートをぶら下げられたら忘れてしまうほど軽いものです。

デザートとは、これから訪れるかもしれない幸福のこと。しかし、訪れないかもしれない幸福のこと。

これまでは、相手への想いが溢れてしまわないように押し潰してきました。

工場でスクラップする、ということはこれまで潰してきた想いは1つや2つではないということです。

でも、スクラップ工場はいずれ閉鎖するそうです。潰す「もの」がなくなるからでしょうか。

不器用な恋愛ほど上手なものです。それは、正直な恋愛だから。

自分の想いに素直でいられる恋が最も上手い恋といえるでしょう。

しかし、数をこなしているうちに駆け引きや嘘や小手先のスキルを身に着けます。

正直な自分は姿を消し、表向きはうまくいっている恋愛でも裏側はドロドロ。

そんなとき人は本当の恋愛を覚えたり、思い出すのかもしれません。

本当の恋愛だからといって、幸せな結末とは限りません。

ハッピーエンド、人並みの幸せ、バッドエンド。どれもが起承転結の「結」。

どんな結末であっても「あなた」がいる結末を選びたいということです。

「結」は「糸」と「吉」が合わさったもの。「吉」は運やおめでたいことの象徴。

つまり、どんな結末でもあなたがいれば自分にとって幸せな結末、ということではないでしょうか。

相手の「好き」ばかりを溜め込んで膨れ上がった恋でした。

でも、ここでやっと、控えめにでも自分の「好き」を伝えています。

守る、救う、叶える自信がない約束の言葉を伝えるのは今ではない。

悪路でしかない恋が平坦になった頃に伝えればいいのです。

「蒼」はくすみを持った色とされています。

日陰でくすぶっていた自分の手を引き、くすみのない透明な自分へと導いてくれたのは「あなた」でした。

この恋には軽すぎる「さよなら」。

膨れ上がった恋に自分の「好き」も吹き込んで、2人の恋は重さを増していきます。

一方で、許されない恋に踏み入ったということ自体が重く、そう簡単に終わらせられないのです。

さよならを受け付けない幸せな恋ともとれますし、後戻りができない覚悟の恋とも受け取れます。

 蒼い糸は色を変え、どんな「吉」へと絡まっていったのでしょうか。

この歌詞を、少女と少女の恋愛として読み取りました。

男女の恋愛とは違い、先が見えません。このまま進んでいいのかどうかも分かりません。

ただ「好き」でいる関係から一歩踏み出したいと思ったからこそ悩み始めた少女。

世間の目、常識、それらに押し潰されそうになったのでしょう。

しかし、結論から言えば「それでも好き」なのです。

もしも不幸な結末、究極的な例として「死」が待っていたとしても、2人にとっての「吉」。

そんな覚悟を感じる一曲でした。

MVのラスト、1人の少女が壁の向こうに落ち、消えていきました。

色を変えた蒼糸は、どんな結末でも「あなた」がいる結末を追って絡まっていきます。

つまり、もう1人の少女も後を追ったのだろうと思っています。

「蒼糸」の世界観を、皆さんはどのように読み取りましたか？

赤糸でも青糸でもない「蒼糸」という言葉が鍵を握っているのではないでしょうか。

歌詞だけでなく、ストリングスの美しさやMVの可憐さもぜひお楽しみください。

「鐘泣く命」のMVも女性が2人出演しています。意味深な歌詞を紐解いてみませんか？