朝に聴きたいアジカン?! 或る街の群青♪

ロックだからアジカンだから夜に聴くとは限りません。「或る街の群青(あるまちのぐんじょう)」は朝の目覚まし代わりにもなる歌詞です。

群青は深みのある青。青が群れを成す色を群青と呼びます。選ばれた青の中から始まる街を描いた景色で歌詞は始まります。

まだ覚めない夢が枕元で僕にタッチした
朝の匂い 街が動き出す
画面の天気予報
日々に願い 求め 奪い合って
世界はダッチロール
巡り会い触れる君のすべてが僕の愛の魔法

出典: 或る街の群青/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文

「或る街の群青」は「鉄コン筋クリート」劇場アニメ主題歌として2006年11月リリースされた6枚目のシングルアニメの内容は反社会性集団に対抗する少年のお話。

闘争心溢れるストーリーですが、歌詞明るい朝を歌っています。早起きの人なら目にしている空の色。深い青は太陽の昇り始めを知らせる色です。

太陽が顔を出せば空の青が明るさを増し、行動開始です。天気予報とニュースを見ながら出かける準備をする様子が目に浮かびますね。

“日々に願い 求め 奪い合って 世界はダッチロール”は次々と目の前を流れる朝のニュースを描いています。

平穏な日々を過ごすための要求。当たり前を求めるだけで争いになることもある日常。揺れは地球規模で続いています。

モノをそのままの名前で表さず、言葉を羅列してイメージさせる基本を踏まえた作詞。ゴッチのセンスは秀逸です。

1人ではなく2人で朝の時間を過ごしているのは、僕の愛の魔法が効いているから? 解けない魔法であることを願いたいですね。

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ロックだってロックだから希望を歌う?!

開いた両目から
堰(せき)を切って流れるすべてを集めて
君と僕で浮かべよう
助走もつけずに思い切って飛び乗る
蹴り出す速度で
何処までも行けるよ
きっと…
光だって
闇だってきっと…

出典: 或る街の群青/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文

チラッと映る七五三の旗は成田山横浜別院での撮影。由緒あるお寺さんです。

目から流れるものは汗ではなく涙。悲しさ苦しさを流す涙は止める必要なんてありません。すべてを流す涙が出ている時間を2人で受け止めます。

2人で受け止めればこの後の糧にすることができます。すべてを出し切ればそこから飛び立つ準備が完了

明るい光に届くように高く飛べます。闇を怖れることなくただ明るい方を目指して飛び続けます。

文学的と同時に社会的と呼ばれるゴッチ。今自分が立っている場所やその周囲で起こっていることは誰にとっても無関係ではありません。

今まで気づかなかった風景に出会えるきっかけを、アジカンの楽曲は作ってくれます。

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文学的番外編はご当地ソング?!

数えきれないくらいあるアジカンの楽曲の中から、最後はとっても気になるご当地ソング(?)の解説をしたいと思います。

母校愛と地元愛が溢れてる! 八景は駅?

2016年3月リリースシングルCD ブラッドサーキュレーターのカップリングとして世に出た「八景」。アジカンの母校の最寄り駅、京浜急行線金沢八景駅、通称「八景」を歌にしました。

この地域を担う駅、正式な駅名ではなく「八景」と愛情込めて呼ばれています。(神奈川県人確認済)

思い入れのある駅はどのような歌詞で表現されたのでしょうか? 「八景」のボーカルを担当したのは喜多建介さん(神奈川県出身)です。

ゆらゆら戻りを待つ
夜を撫で過ぎる風
たまゆら 響く汽笛
波先で頷く未来

早歩きで朝まで
防波堤の先の海へ

誰かの不意なジョークで
僕らはまた息を吹き返す
波の無い海じゃなんだか味気ないような
そんな気持ちになるでしょう

出典: 八景/作詞:後藤正文 作曲:喜多建介・山田貴洋

地名が一度も出てこない?!

ご当地ソングなら地名が出てくるのが当たり前です。はるばる来た函館や夕陽がきれいなことに気が付いた東京とか、歌詞にも必ず地名が入っています。

ところが「八景」はどこにも地名が出てきません。地名を出さずに描写でその土地を表すゴッチマジックは快感です。

海に近い金沢八景。地名の由来となった8つの見るべき景色も、埋め立てによる開発で今はありません。目の前にある海は人の手で作られた岸や砂浜で囲まれています。

寄せては返す波が見られない海は、海に来た! という高揚感を与えてくれないですよね。

近くには八景島シーパラダイスや横浜市内唯一の海水浴場もあるけれど、自然とは距離を置いた空と海が続きます。

キャンパス名にもなっている金沢八景駅は絶対に忘れることのない駅名ですが、懐かしさだけではありません。

何もないところから作り出されたアジカンとこれまでの歩みと今自分たちがいる場所を噛みしめるように「八景」を思い出しています。

私も八景島シーパラダイスに行くために金沢八景の駅を利用したことがあります。

快特・特急・普通などすべてが止まる「八景」。この駅を使ってそれぞれが目指す方向に別れていきます。

誰もが知るバンドASIAN KUNG-FU GENERATION」の根っこの1つに「八景」がいることを教えてくれているようです。

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まとめ