迷走する愛
誰も手をさしのべず 何かにおびえるなら
自由 平和 そして 愛を何で示すのか
出典: 太陽の破片/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
孤独と戦う、主人公。
自分と同じような境遇の人は、間違っても存在してはならないと伝えたいのでしょう。
ともすれば、愛する人へのメッセージなのかもしれません。
あなたにだけは、自分のようになってほしくない。
しかし、ここまで愛する人に依存するのでしょうか?
なぜその想いが届かなかったのでしょう。
見かたをかえると、こうも解釈できます。
自分は、社会に準ずることのできない不適合者ではないか...。
そう自覚した歌詞ともいえるのです。
「愛」という欲望にかられた、主人公。
愛する人への気持ちを、いかに表現すればよいのか混乱しているのかもしれません。
ともすれば、伝えなければよかったのでは。
と、心情はぼやけていたのではないでしょうか。
いわゆる、恋愛に対し下手くそなのかもしれません。
抽象的ではありますが、訴えかけたい想いが凝縮された2行の歌詞ではないでしょうか?
真実の愛
だから 一晩中 絶望と戦った
僕はただ 清らかな 愛を信じている
出典: 太陽の破片/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
「失望」、「欲望」、「絶望」と全てに向き合った主人公。
どこか晴れやかな笑顔が、微かにこぼれている様相が垣間見えます。
愛しかたについて、何が足りなかったのか気づいたのでしょうか。
あるいは、不器用でも「愛しかた」は人それぞれだと確信したのかもしれません。
不器用でも自分には、真っ直ぐに気持ちを伝えることしかできないと描写しているのでしょう。
あれこれ小手先で勝負する恋愛。
愛する人と向き合う時、それは必要なく邪魔でしかないのです。
誰も信じることはできない...
「偽善」という社会
目をつぶってみる 涙がほら渇くまでの間に
忘れられるさ 破れた約束の前で
人はいつも 偽りつづける だけど
君を もう欲望の果てに ただ
奪われたくはない
出典: 太陽の破片/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
目の前の現実から逃げてはいけない。
永遠だと思っていたものも、あるとき簡単に崩れ去っていきます。
しかもそれは、瞬きする間だと投げかけているのです。
いつしか、遠い記憶へと過ぎ去っていくのかもしれません。
いつの時代も、「偽善」という名の「約束」が繰り返されていると揶揄しているのでしょうか。
そんな約束などと、あなたを巡り会わすことはできない。
自身で別れを決めたはずの主人公。
その瞬間から後悔の念に苦しめられているのです。
自分ではない誰かの捌け口にされることだけは、どうしても避けたいのでしょう。
こんな結果になるのであれば、なぜあの時気づけなかったのか...。
ただただ、人間失格かのような挫折を味わう主人公なのです。
道なき先
君を守りたい 悲しみ こぼれぬよう
あわれみが 今希望の内に生まれるよう
出典: 太陽の破片/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
どうすれば君と道を歩めたのか。
教えてほしい、と痛ましい主人公の有り様が感じとれます。
こんな僕でも、「君」への想いだけは誰にも負けない。
この手を広げたとき、一体どれだけの感情が手のひらに残るのでしょうか。
哀れみだけが消えて無くなってしまえばいい。
そう懇願する主人公の姿が目に浮かびます。
暗く、光が射し込まない心の部屋。
すき間から、ひとすじの明かりが灯ろうとしているのです。
確かに感じられる微かな明るさに、身を委ねはじめている主人公。
光の先には何が見えるのか
もし君が 暗闇に光を求めるなら
ごらん 僕を 太陽の破片が頬をつたう
出典: 太陽の破片/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊