大切な人の最後の言葉を聞き取れない悲しみはどれほどのものでしょうか。

月に手をかざし、何かを言いかけて死んでしまった仲間。

冒頭の歌詞で歌ってほしいという歌詞がありましたが、もう二度と聞くことのできない歌声が、自分の涙のように止まらない雨の音にかき消されるように聞こえなくなっていくという描写です。

悲しみの深さが見て取れますね。

「教え」は悲しみから救ってくれない

これまで踏みつけてきた教えを
今掻き集めこの胸に当てても
救い求め歌うようなお遊戯に見える
物語る大人のように

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

仲間を失った悲しみに打ちひしがれ、軍人になってからはないがしろにしてきた、学生の頃大人から教わった「教え」を思い返して見ても、「お遊戯」に見えるほど救われない気持ちになるという歌詞

自分に戦争を教えた大人と同じように、大人になった今も悲しみの乗り越え方がわからないという悲痛な思いが歌われます。

言葉に寄り添うだけの空の愛と導きはいらない
飾られた祈りでは明日の手掛かりに触れない

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

また、「愛」や「導き」も言葉に寄り添うばかりで、自分の心の傷には寄り添ってくれないこと、そして「祈り」にすがったぐらいでは明日へ進むこともできないことが続けて語られています。

Aimer「RE:I AM」が『機動戦士ガンダム』に!?歌詞&動画ランキングを検索してみたの画像

「君」にもあるはずだった未来

いつか君に届くはずの
名も無き幼い詩が描くわがままを
忘れたいよ 一度だけ
眠れぬ悲しみがその詩を抱きしめてる

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

この部分の歌詞は、もしも死んでしまった仲間が生きていたら、子供ができて、子供のわがままや描く落書きに顔をほころばせる未来があったのかもしれないということを眠ることもできずずに考えてしまう姿が描かれています。

失った仲間への思い、失われた未来を考える時間、あまりにも痛々しい日々の描写が胸に刺さります。

冬も、夏も、繰り返す季節の中で悲しみも繰り返す

Freezing cold shatters my sorrow
And scorching sand puts it together again

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

「凍てつく寒さは悲しみを粉々に砕き、焼け付く砂粒が悲しみを寄せ集める」

悲しみを抱えたまま過ぎて行く季節は自分に厳しく感じられるものです。

そして、時間が経っても消えない悲しみが季節の移り変わりとともに表現されています。

正しさのために使い捨てられる命なら、間違いと認められても消えない方がいい

投げ捨てられる正しさなら
消えることない間違いの方がいい
臆病に隠してた声を今
この手でもう一度晒せばいい

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

戦争の一時的な正義のために命を使い捨て、後から正当化するくらいなら、戦争を間違いと認め、消えることのない悲しみの記憶として残した方がいいという強いメッセージが読み取れる歌詞。

そして、歌詞の序盤で、仲間に伝えることができず「閉じ込めた」自分の言葉、意思を示そうという決意が見られます。

戦争で仲間を失った悲しみの記憶から、生き残った自分の使命を見つけたのです。

Aimer「RE:I AM」が『機動戦士ガンダム』に!?歌詞&動画ランキングを検索してみたの画像

悲しみを心に刻んで前へ

掴む軌道も咲く光も
乾いた心のせいでモノクロに見えた
忘れないよ今日の景色を
ありふれた願いが足元を照らしてくれる

出典: RE:I AM/作詞:澤野弘之 作曲:澤野弘之

「ありふれた願い」は仲間を失って気づいた、戦争のない日常を、仲間と当たり前に一緒に居られる日々を守りたいという新たな願いです。

その願いのために、見る景色が全てモノクロに見えるような悲しみを決して忘れないという決意がわかります。

戦争で仲間を失った悲しみが全般に描かれた歌詞でしたが、前向きに進んで行く姿がこの歌詞に見られますね。