【和訳】
もしかすると僕の中で探し出そうとしていたのかもしれない
感じることすらできないとても深くてとても暗いどこかから
でも僕は考えもしなかったんだ
僕の手が届く、僕のすぐそばのとても明るく甘美な場所にあったなんて
自分のことしか信じられない。
皆が欲する「愛」だって自分の中にあるはずだと確信し、閉ざされた自分の中の世界で愛を探し回っていた。
でも「maybe」=「多分、かもしれない」、断言はできないわけです。
なぜならば愛を探す行動は僕の「無意識」だったからではないでしょうか。
愛がこんなにも明るい場所にあったのだと知った僕。
今だからこそ、暗闇の中で愛を探し回っていた自分に気づき、受け入れたのです。
「愛へ」1−Bパート
野田洋次郎の言葉遊び、音あそびが溢れている1−Bメロ。
「て」「で」の韻を踏むラップ調の歌詞が耳から離れません。
愛を教えてくれた人の存在
そして愛はそこら中に溢れてて こんな僕を暖めてて
手と手で 胸と胸で数えきれぬ気持ちを束ねてくれたんだ
出典: 愛へ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
自分だけの世界ばかりを見つめ続けていた僕に、明るい世界を教えてくれた人がいました。
触れ合うことで感じるごく小さな愛だってしっかり目に見える世界。
全て拾い集めて「これが愛なんだよ」と教えてくれたのでしょう。
愛を知り愛を与える僕に
人間らしさ 忘れないで 捨てないで 去っていかないで
置いていかないでって 言ってくれたんだ
出典: 愛へ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
愛に裏切られて苦しむことも人間らしい側面です。
だからたとえ愛に失望することがあっても、そのままでいて欲しいという意味でしょうか。
そして愛を知った僕はいつしか「愛を与える人」になっていることに気づきます。
人間らしさを「忘れないで・捨てないで・置いていかないで」という意味にもとれるこの歌詞。
しかし「去っていかないで」は確実に誰かから僕への言葉です。僕の愛を必要とする人がいるのだと知りました。
「愛へ」1−サビ
ドラムの裏打ちが軽快でメロコアサウンドを思わせるサビへと突入。
ここで僕は、僕の中にあった不合理な思いを吐露し、2つのことに感謝を伝えます。
僕が抱えていた矛盾
愛が僕を変えた 矛盾だらけの悲しすぎるこの世を
潰しちゃいたいと思ってたのに
愛が僕を変えた 人を疑うことが当たり前のことと
なってしまった自分なのに
出典: 愛へ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
僕の世界を一変させたのは「愛」だと言い切っています。
おそらく僕は、身近なことだけではなく世界中の悲しい出来事までひっくるめて失望していたのでしょう。
殻に閉じこもっていれば見る必要のない外の世界なのに、見てしまう、見えてしまう。
そこにわざわざ矛盾を感じたり疑念を抱いたりするのはなぜなのか。
それは「愛があればどうにかなったんじゃないの?」と感じたからではないでしょうか。
つまり僕は「愛を信じない」と言いながら、愛がもたらすパワーを心のどこかで信じていたのです。
2回の「ありがとう」はどこに向けたものなのか
愛が僕を変えた そんなことさえも
どんなことさえも許してくれる こんな僕さえも
ありがとう ありがとう 今まで愛を何だと思ってたんだろう
出典: 愛へ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
全て壊したいと思ったこと、人を信用しなかったこと、愛を信じなかった僕。
全てを許容してくれたのが愛でした。
誰かが言葉として許してくれるわけではありません。
人を信じられるようになり、守りたいと思えるようになった瞬間僕は「許された」と感じたわけです。
裏を返せば、それまでは許されていなかったということ。
「僕のような人間は愛を信じちゃいけないんだ」と自らを律していたのかもしれません。
どこかで愛を信じているのに「信じていない」と言ってしまう矛盾だらけの僕。
自分には愛を信じる資格がないと思っていたのでしょう。
その呪縛から解き放たれるきっかけとなったのは、愛を教えてくれた人。
「ありがとう」の数は2度。
愛を教えてくれた人と、僕を許してくれた人に向けられた「ありがとう」なのでしょう。