サカナクション「アイデンティティ」
2010年8月発売のシングル
「アイデンティティ」は、2010年8月にサカナクションの3rdシングルとして発売された曲です。
サカナクションがまだ若手バンドだった頃、前作「アルクアラウンド」のスマッシュヒットによって一気に注目度を高めた後に発売されたこの作品は、オリコン週間チャートで12位を記録しました。
作詞作曲者であるボーカルの山口一郎によると、シングルに収録された「アイデンティティ」「ホーリーダンス」「YES NO(AOKI takamasa remix)」はそれぞれが「皮」「実」「種」となっているそうです。曲が進んでいくにつれて段々と中心部へ迫っていくような、味わい深い作品となっています。
表題曲である「アイデンティティ」は、めまぐるしく変わるリズムやサウンドの中で心の叫びが歌われる一曲です。
タイアップや番組挿入歌で人気の曲
「アイデンティティ」は東進のCM「340万人の高校生へ」でCMソングとして起用されました。
また、バラエティ番組「ナカイの窓」や「おじゃマップ」の番組内で度々使用されています。
「アイデンティティ」に限らずサカナクションの曲は番組挿入歌として使用されることが多いので、おそらく誰もが一度は彼らの音楽をどこかで耳にしているのではないでしょうか。
映画「ジャッジ!」の主題歌にも起用
また、「アイデンティティ」はリリースからおよそ3年半が経った2014年1月に、映画「ジャッジ!」の主題歌に起用されました。
国際広告祭の裏側を描いたこのコメディ映画は、妻夫木聡や北川景子、リリー・フランキーなど豪華キャストの共演で話題になりました。
既にリリースから時期が過ぎている曲が大作映画の主題歌になるのは珍しいことですが、「歌詞と映画の主人公の心情が重なる」という理由から「アイデンティティ」が抜擢されたそうです。
また、この映画のエンディングにはサカナクションの「ユリイカ」という書き下ろしの新曲が起用され、主題歌・エンディング揃ってのタイアップとなりました。
PVの意味は?
モノクロっぽい映像世界が印象的な「アイデンティティ」のPV。夜の景色が鮮やかで叙情的に描かれた「アルクアラウンド」のPVから一転して、シックでクールな印象の作品です。
メンバーの衣装や楽器まで同じ色味で統一されて、どこかSFチックな雰囲気を漂わせています。
そして終盤では、彼らの演奏シーンがパチンコ台のモニターに映し出される光景が描かれます。
顔のような形をしたパチンコ台の中をパチンコ玉が流れていく様子は、まるで台が「泣いてるみたい」と話題になりました。
子どもの頃は持っていたはずの「アイデンティティ」を見失ってしまった嘆きを歌うこの曲。ある意味で「大人」を象徴するもののひとつであるパチンコ台が流す涙には、そんな曲の世界観が表れているように思えますね。
歌詞の意味を紐解く
サビのフレーズがインパクトを与える歌い出し
アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら
出典: http://j-lyric.net/artist/a04d6c9/l0213f7.html
好きな服はなんですか?好きな本は?好きな食べ物は何?
そう そんな物差しを持ち合わせてる僕は凡人だ
映し鏡 ショーウインドー 隣の人と自分を見比べる
そう それが真っ当と思い込んで生きてた
出典: http://j-lyric.net/artist/a04d6c9/l0213f7.html
「アイデンティティ」の歌い出しは、曲の中でも一番印象的なサビの言葉から始まります。一度聴いただけで即座に記憶に残ってしまう歌詞のフレーズとメロディですね。
そしてその後に続く歌詞では、世の中でよく使われる物差しを「凡人」のものだと自分ごと一蹴してしまいます。
そして、今までそんな物差しで自分や他人を測りながら生きてきた自分に、曲の主人公はふと気づきます。
「自分らしさ」って?
どうして 今になって 今になって そう僕は考えたんだろう?
どうして まだ見えない 自分らしさってやつに 朝は来るのか?
アイデンティティがない 生まれない らららら
アイデンティティがない 生まれない らららら
出典: http://j-lyric.net/artist/a04d6c9/l0213f7.html