クイーン【アンダー・プレッシャー】歌詞を和訳&解説!プレッシャーに負けそう…そんな自分を救うものとはの画像

Chippin' around - kick my brains around the floor
These are the days it never rains but it pours
People on streets - people on streets

出典: アンダー・プレッシャー/作詞: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor 作曲: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor

原詩にイギリス固有のスラングが使用されていて解釈が難しい箇所です。

和訳して解説します。

「コカインを使って 僕の脳髄を床に叩きつけても

あの頃は雨どころじゃない土砂降りばかりの毎日

路上の人々、道に溢れる人々よ」

冒頭の英詩はコカインを使うというイギリスのスラングです。

フレディー・マーキュリーにしてもデヴィッド・ボウイにしても違法薬物を摂取した残念な過去があります。

しかし「プレッシャー」から逃れる手段に違法薬物を用いても事態は酷くなるばかりだと歌います

映画「ボヘミアン・ラプソディ」の中でも示唆的な場面がありました。

パーティーでコカインに嵩じるフレディー・マーキュリーを他のメンバーが見放すシーンです。

地に足をつけた生活を好む他のメンバーとパーティー好きなフレディーの間に亀裂が入ります

こうした成功者だけが違法薬物に手を染める訳ではありません。

むしろ貧困にあえぎながらも薬物でひとときの快楽を得ること。

そのために少ない日銭をすり減らしてしまう悪循環に陥る依存症患者も多いです

目を背けてはいられない社会問題になります。

愛はときに人を引き裂く

弱者への肩入れ

クイーン【アンダー・プレッシャー】歌詞を和訳&解説!プレッシャーに負けそう…そんな自分を救うものとはの画像

Turned away from it all like a blind man
Sat on a fence but it don't work
Keep coming up with love
but it's so slashed and torn
Why - why - why
Love

出典: アンダー・プレッシャー/作詞: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor 作曲: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor

歌詞和訳して解釈します。

「盲人のようにすべてから目を背けて

中立を気取ってもどうにもならない

愛を想い続けても滅多切りにされて引き裂かれた

どうして? どうして? どうしてなんだ?

愛よ」

クイーンもデヴィッド・ボウイも大成功者です。

そんな彼らですが社会的弱者の方に肩入れします。

中立を気取ることも目を閉ざすこともしないと唄うのです。

フレディー・マーキュリーは元難民でありました

苦しい立場の人々と寄り添うのは成功者になっても生涯を通じて変わらない立場だったのでしょう。

愛に関してのラインはどの人にとっても辛く響くはずです。

フレディー・マーキュリーはどれほど真実の愛に生きられたのか

晩年はいいパートナーに恵まれましたが人生の中でいつも彼を悩ませる問題が愛であったはず。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が描いたことがすべて真実ではないです。

それでもフレディーにとって愛はときに裏切られて引き裂かれることを意味していたのは事実でしょう。

愛はときに敗者・勝者の区別なく人を引き裂くことがあります。

それでも愛に期待したい気持ちがクイーンにもデヴィッド・ボウイにもありました。

もう少し歌詞を見ていきましょう。

愛にもう一度チャンスを

「Love」という言葉の幅広さ

Insanity laughs under pressure we're cracking
Can't we give ourselves one more chance
Why can't we give love that one more chance
Why can't we give love

出典: アンダー・プレッシャー/作詞: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor 作曲: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor

歌詞和訳して見ていきましょう。

「僕らがひび割れるプレッシャーの下で狂気が笑っている

僕らは自分自身にもう一度チャンスを与えられないのか

どうして僕らはもう一度愛にチャンスをあげられないのか

どうして僕らは愛にチャンスをあげられないのか」

愛に引き裂かれることはあっても愛に期待せざるをえないというのはどうしてでしょう。

ここでは「Love」という単語の意味の幅広さが背景にあります

男女の愛も「Love」であり隣人愛・人類愛も「Love」です。

先ほどのセンテンスで人を引き裂いた愛は男女の「Love」。

それに対してこちらのセンテンスでは人類愛のような大きな「Love」について語っています。

「Love」にもう一度機会を与えようとフレディー・マーキュリーとデヴィッド・ボウイは歌うのです

狂気が勝利する世界をこのまま赦し続けてはいけない。

愛にもう一度機会を与えようと燃えるような想いを歌います。

MVでは後半から往年の名映画の中からキスシーンだけを抜き出して引用しているのです

往年の名映画からキスシーンだけを抜き出すというと映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出します。

しかし「アンダー・プレッシャー」のMV1981年製作で「ニュー・シネマ・パラダイス」より先です。

「アンダー・プレッシャー」のMVはクイーンもボウイも出演していません。

それぞれツアーに出ていたなどの関係で関係者が出ていないMVですが歴史に残る名MVとされます

このページにリンクを貼りましたので公式チャンネルからMVをご覧ください。

隣人愛と自己愛で重圧から解放されよ

愛に頼るしかないという哲学

クイーン【アンダー・プレッシャー】歌詞を和訳&解説!プレッシャーに負けそう…そんな自分を救うものとはの画像

'Cause love's such an old fashioned word
And love dares you to care for
The people on the edge of the night
And love dares you to change our way of
Caring about ourselves

出典: アンダー・プレッシャー/作詞: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor 作曲: David Bowie, John Deacon, Brian May, Freddie Mercury, Roger Taylor

歌詞を和訳して解釈しましょう。

「愛とはそんな古いスタイルの言葉だから

そして愛はあえて君に夜の淵に立っている人々についての配慮をさせるし

愛はあえて君に僕ら自身について配慮するやり方を変えさせるんだ」

「Dare」の訳し方が難しく逐語訳で小馴れた言葉ではないのですがこのように訳しました。

愛というものが人に与えるよい傾向を並び立てます。

愛は隣人愛と自己愛でお互いがお互いを配慮するように仕向けると歌っているのです

とても深い洞察になっています。

こうした言葉を日本語に変えようとすると歌には乗らなくなってしまうのが残念です。

「プレッシャー」の下でも私たちが救いあえるのはやはり愛に頼るしかないのだと力強く歌います

隣人愛と自己愛でそれが為せる。

これはクイーンもデヴィッド・ボウイもともに一致する見解なのでしょう。

とても抽象的な解決策ですが愛を実践するのは歌詞を受け止めた私たちリスナーです

愛という言葉は生活の実践の中で息を吹き返すものなのでしょう。

今日から変わることは難しいですが「アンダー・プレッシャー」が歌うことに耳を傾けたいです。

「アンダー・プレッシャー」は私たちの姿

クイーンとデヴィッド・ボウイの未発表音源