はじめに
今や押しも押されもせぬ大人気バンドの一つとなったBUMP OF CHICKEN。
誰もが認めるカリスマ性を持つ彼らは今年、結成から24年目を迎えました。
『THE LIVING DEAD』収録
「リリィ」が収録されているのは、BUMP OF CHICKENの2枚目のアルバム『THE LIVING DEAD』です。
「生ける屍」というタイトルのこのアルバムがリリースされたのは、2000年3月25日。
今から18年も前にされたということになります。
超過密スケジュールで生み出された名盤
『THE LIVING DEAD』の楽曲はほとんどすべて、1999年の秋から2000年の春にかけての半年間にまとめて製作・レコーディングされました。
中でもレコーディングは、約1週間という短期間で行われたといいます。
まずは歌以外の部分、バンドによる演奏をレコーディング。
その音源を聴き、藤原基央が後から歌詞とメロディをつけていったそうです。
とにかく過密なスケジュールだったためか、本作の9曲目「グロリアスレボリューション」は、寝不足の藤原が鼻声で歌ったものとなっています。
製作に際しての苦労も多かったであろう本作ですが、製作期間の短さが表れたかのような勢いのある一枚です。
未だに、BUMPのアルバムでは本作が一番好きだというファンもたくさんいます。
BUMPでは数少ない「ラブソング」
「リリィ」は、BUMPの楽曲としては珍しく、藤原基央自身が「ラブソング」だと公言している楽曲の一つです。
恋愛だけではない「僕」と「君」との世界
20年を越えるキャリアの中で、多数の名曲を生み出してきたBUMP。
その中に、「僕」と「君」の関係を描いた曲はたくさんあります。
たとえば彼らの代表曲とも言うべき「天体観測」は、「僕」が「君」とともに夜空を見上げる様子を歌った曲。
この「僕」と「君」はもちろん、男女と捉えることもできるでしょう。
しかし藤原はこの二人の関係を明言してはおらず、歌詞中にも具体的な言葉が出てくるわけではありません。
このように、曲に出てくる人物たちの関係を想像できる余白があるのは、BUMPの魅力の一つでしょう。
一方「リリィ」をはじめ、藤原は何曲かを「ラブソング」だと公言しています。
本題からは少しはずれますが、それらの楽曲を簡単にご紹介しましょう。
「とっておきの唄」
ゆっくりでいいから君が本当に笑って泣けるような2人になろう
ちょっとずつアルバムを重くしよう 何でもない日も記念日にしよう
どんなにめくっても終わりがないかわりに続きがある2人のアルバム
出典: とっておきの唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
まずは『FLAME VEIN』に収録された「とっておきの唄」です。
出会ってからそう日が経っていないであろう大切な人と、これから過ごしていくであろう日々に思いを馳せたこの曲。
楽しいことばかりでなく、つらいことがあったときにも隣で一緒にいる…。
そんな思いが伝わってくる、まっすぐなラブソングです。
「アルエ」
ハートに咲いたコスモスが 枯れないように水をやろう
青空の下でゆれていてスゴクきれいさ
ブリッジでとったスライドは 君が生きてるって証拠さ
あたたかい日だまりのなかで一緒に 手をたたこう。
出典: アルエ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
2004年にリリースされた「アルエ」は、アニメ『新世紀ヱヴァンゲリオン』のヒロイン・綾波レイに向けられたラブソングです。
タイトルも「アルエ」=「R.A.」=「Rei Ayanami」からきているといいます。
アニメのヒロインに向けたものとはいえ、藤原はいたって真剣。
歌詞中には、レイを思わせるキーワードが多数並んでいます。
作中ではつらい表情を見せることも多いレイに、なんとか笑っていてほしい。
そんな恋心を、明るいメロディに乗せて歌い上げています。