戻りたいけれど戻れない
戻れたら戻るけど
そうはいかないから
あなたならわかるでしょ
もうやめて
影に潜んだ後ろめたさをしまい込む
出典: 出典: 愛の逆流/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
戻りたいという気持ちは多分同じなんだけど、戻れないことに対する態度の違いがあったんですね。
男性は未練を持っている。それに対して女性は、それは仕方がないことなのだと。男性を諭すような口調で歌われています。
傷ついたのは誰なのか
サビのサウンドやメロディーは、とてもキャッチーです。
また、繰り返される歌詞はフレーズとしても刺さりやすく、つい口ずさんでしまいます。
傷付けないで
傷付けないでって
拠り所のないまま言う
傷付けないで
傷付けないでって
声を繋いだ
出典: 出典: 愛の逆流/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
傷つくのは「私」なのか、「あなた」なのか。あるいは「両方」なのか。
互いの対比を描写してきたのに、ここでは加害者と被害者に分け隔てたりはしません。
「傷つける」側と「傷つけられる」側とに分けないんです。
ただ、揺れ動きながら、それでも戻れないという事実を受け止めて歌い上げるにとどめています。
愛の逆流とは何か?
この楽曲を最後まで聴いても「愛の逆流」という言葉は出てきません。
出てくるのは「愛は逆流しないだろう」というフレーズです。
刻む2人の流れは速いのか遅いのか
冷たく流れたこともあったろう
止まりそうになることもあったろう
でも愛は逆流しないだろう
出典: 出典: 愛の逆流/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
テーマとしては、同じく「懐かしいな」の時点から2人で愛を育んて来たものの、今は、何か事情があり、この愛を続けることが出来ない。
この状況に対して「女」は「戻りたいけれど戻れない」ということを受け止めているのに対し、「男」は、そのことを受け止め切れていない。
このような状況を歌ったものと言えます。
これが何か実体験に基づいた物語なのかは別として、これを男女の「対比」として音楽に描き切っているところはさすがとしか言いようがありませんね。
MVのここがすごい
美しいモノクロームのイメージ
MVの映像を思い返してみましょう。女性のエモーショナルな表情と蠢く人々をよそに、「indigo la End」の4人がクールに演奏をする美しいモノクロ映像に仕上がっています。
とてもかっこいい映像ですよね!
「indigo la End」のMVというと、主演の女優さんと川谷絵音とのドラマ仕立てのPVのイメージが強いかも知れません。
「indigo la End」はブレイク前のモデルや女優をMVやCDジャケットに起用するのがうまいバンドという側面があります。
波留、森川葵など、例には困らないほど多くのモデルや女優が、起用後にブレイクするというのがある種のパターンとなっています。
しかし、「愛の逆流」のMVは全編、にわかには意味を理解しがたい抽象的な映像で成り立っていて、これまでのドラマ仕立てのMVとは大きく異なった印象です。
実は「藍色好きさ」のMVと対になっている?
「愛の逆流」のMVは、女性の切ない演技、蠢くコンテンポラリーダンスの集団、それらに無関係な装いのバンドの三重構造になっていてます。
主演の女性は現在、赤神幸依としてモデルや女優として活動している「あめ」です。また、三石 直和が監督を務めています
実は、この監督が三石 直和で主演が「あめ」という組み合わせは、一つ前のMV 「藍色好きさ」と同じ組み合わせです。
「藍色好きさ」のMVも通常のドラマ仕立てのMVとは違った仕掛けがあり素敵です。
同じ監督と主演モデルの作品でありながら、「あめ」の演技も三石 直和の演出も全く異なります。
この2本のMVは、違いも楽しめる素晴らしいMVですので、是非、見比べてみてください!