ロックバンド"バンプ"の背骨とは?

【サザンクロス/BUMP OF CHICKEN】心温まる歌詞の意味に迫る!PV&コードもチェック♪の画像

フォークやポップスじゃないんだ!

ファンタジックな歌詞と透き通ったボーカルが鮮烈な「天体観測」でデビューした"BUMP OF CHICKEN"。

もともとは幼稚園時代からの同級生で作ったロックバンドでした。

3年ほどのインディーズレーベル時代を経てのメジャーデビューは、"やっと"の思いだったでしょう。

ロックバンドと言えば社会批判や体制拒否など、激しいスタンスが思い浮かびます。

でも、メジャーでのデビュー曲は、甘く切ないフォーク調でした。

"BUMP OF CHICKEN"は「弱者の一撃」などと直訳されることがありますが、英語の意味で近いのは「猫パンチ」。

「へなちょろ逆ギレ」なので、センス良く"弱虫の逆襲"と訳すべきです。

朗々と歌い上げる甘いメロディが、彼らをポップスやフォークに分類されがちにします。

でも、アルバムを聴けば"一耳瞭然"でしょう。れっきとしたロックバンドです。

ボーカルがクリアでもロックだ!

所属事務所などが音楽関係メディアで「略称はBUMP」とか「バンプ」と宣伝しています。

でも、高校生・大学生に聞くと明るく「バンチキ」と答えが返って来ます。

なんだか軽薄な響きなので、マネージメント側はこの略称を嫌っているかも知れません。

でも、「バンチキ」と答えた若者らは口を揃えて「大好き!」「カッコいい!」「尊敬する」と言います。

彼らの実力は、十分にターゲットに評価されていると思われます。

透き通ったハイトーンボーカルも、「全然、Jポップじゃない」。意外な反応です。

歌詞楽曲イメージは、相当に骨太だと受け取られているようです。

「サザンクロス」の系譜

どうして星座なのか

サザンクロス」は彼らの7枚目のアルバムRAY」の収録曲です。

南十字星は、沖縄以外の日本では見えない星座。どうしてこのタイトルなのでしょう。

歌詞を見てみましょう。

その胸にしまった火に憧れた
飲み込まれて消されてしまいそうで
夕焼けみたいに暖かくて
寂しくて強かった その火に

言葉選んで 挙げ句間違えた
よく晴れた日を 未だに思い出す
目を伏せたらもう動けなくて
嫌われていない事
祈るばかり

心全部見せてくれた
何ひとつ 出来なかったのに

どんな今を生きていますか
好きだった唄はまだ聴こえますか
くしゃみひとつで笑った泣き顔
離れても側にいる気でいるよ

出典: サザンクロス/作詞:Motoo Fujiwara 作曲:Motoo Fujiwara

ボーカル作曲を担当する藤原基央の得意パターン。青春時代の恋愛イメージです。

思慕の想いが不手際と誤解で雲散霧消する怖さ

純粋無垢だった相手を追想する小さなエピソード群。

でも、星座のストーリーは出てきません。

星を読んで位置を知る様に
君の声で僕は進めるんだ
さよならを言った場所から
離れても聞こえるよ 約束が

その胸にしまった火に憧れた
こんな思い気付かなかったでしょう
その火がその目に見えなくても
この瞼の裏に青く残る

さよならを言った場所には
君の声がずっと輝くんだ
君が君を見失っても
僕が見つけ出せるよ 君の声で

どんな今を生きていますか
僕の唄が今聴こえますか
くしゃみひとつで取り戻せるよ
離れても側にいる気でいるよ

出典: サザンクロス/作詞:Motoo Fujiwara 作曲:Motoo Fujiwara

曲の最後にキーワードが出てきました。

星を読んで位置を知る

星座は航海する船にとって、自らの位置を知る指標になります。

他人には秘密の人生の道標の象徴が、普段は見えないサザンクロスだったわけです。

追い求めるテーマのひとつ

BUMP OF CHICKEN楽曲タイトルアルバムを見てみると、宇宙物理に関係したものが目に付きます。

まず、デビュー曲が「天体観測」。ミドルヒットとなったシングル曲「プラネタリウム」。

アルバムの名前では「jupiter」「orbital period」「COSMONAUT」。

"木星"に"軌道限界"に"宇宙飛行士"と続きます。

2017−2018ツアーのタイトルに至っては、火星探査機の名前「Pathfinder」です。

特に意識してというわけではないかも知れませんが、宇宙への憧れが感じられます。

人の心や運命に弄ばれる人生、それに揺らぐことなく圧倒的な永続性を持つ宇宙

二つのコンテクストの対比に、人生の喜びとはかなさが垣間見えます。

どうやら宇宙はBUMP OF CHICKEN追い求めるテーマのひとつのようです。

「サザンクロス」のPVは発表されていませんが、"Ray"のツアー・プロモが公式サイトで紹介されています

見守ってくれる君が僕の中にいる