『ヤマトより愛をこめて』とは
沢田研二の24枚目のシングルにあたるこの楽曲は1978年8月1日にリリースされました。
同年公開の劇場用アニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以降、『さらば宇宙戦艦ヤマト』と記します)のエンディングテーマでした。
作詞は阿久悠、作曲は大野克夫というゴールデンコンビによる楽曲。この二人はそれぞれ、沢田研二の歌唱曲『憎みきれないろくでなし』から4作連続で担当しています。
『宇宙戦艦ヤマト』の「作曲家」と言えば宮川泰。
したがって『さらば宇宙戦艦ヤマト』も当初は宮川泰により作曲されたのですが、候補曲の4曲が『さらば宇宙戦艦ヤマト』プロデューサーの西崎義展には気に入らず、いずれもボツに。
その結果、新たに大野へ依頼することに。最終的には大野による作曲、宮川による編曲の楽曲として完成したのです。
やはり何が何でも宮川泰は外すわけにはいかないでしょうに。プロデューサーの西崎も、何が気に入らなかったのか説明して欲しいところです。
『宇宙戦艦ヤマト』関係
『宇宙戦艦ヤマト』はアニメ、映画などの作品だけにとどまらず、楽曲のみでもファンが殺到する代物です。
『宇宙戦艦ヤマト』関係のアルバムに沢田研二が歌う本楽曲(オリジナル版)が収録されたのは、2001年発売の『宇宙戦艦ヤマト Yamato The Best』が初でした。
なぜでしょうか?これもいろいろと大人の事情が。
『宇宙戦艦ヤマト』関連アルバムの発売元と、沢田研二の『ヤマトより愛を込めて』の発売元が違っていたからなのです!
まず、オリジナル版ではなく編曲バージョンが沢田研二のアルバムベストアルバム『ROYAL STRAIGHT FLUSH』に収録。
ここでは伴奏にエレキギターが追加されていて、後奏が短いものに。『さらば宇宙戦艦ヤマト』で使用されたのはこちらのバージョンでした。
1978年にはサウンドトラック『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち ドラマ編』が日本コロムビアから発表されました。
ところがその当時は沢田研二がポリドールに所属していたため、レコード会社の関係から沢田研二のボーカルを使えなかったのです。
その結果、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』ではインストゥルメンタル(歌唱なし)を収録。
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち ドラマ編』ではメロディーに合わせ、プロデューサーの西崎が歌詞を朗読したものが収録されます。
朗読ですよ、朗読。コアなファンでなければ受け入れがたいとも思われるのですが・・・・・・
さらに1980年12月に発売されたアルバム『宇宙戦艦ヤマト 主題歌ヒット曲集』では、ささきいさおによるカバーバージョンが収録されたのです。
大人の事情とは言え、さまざまなバージョンを受け入れざるを得なかった不運の楽曲なのかもしれません。
その後
さまざまな紆余曲折(うよきょくせつ)を経てこの楽曲は、2017年2月25日から劇場先行上映されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第一章に、エンディングテーマとして用いられました。