中島美嘉の『Dear』は映画「八日目の蝉」の主人公恵理菜の溢れ出る感情を表現した曲

優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした』という衝撃的なキャッチフレーズで知られる映画八日目の蝉」。

2011年4月に公開されたこの作品は、第35回日本アカデミー賞で、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞など合計10冠を獲得するなど、非常に高い評価を得ました。

角田光代原作小説を映画化したこの作品は、まだ赤ん坊である主人公の恵理菜が誘拐犯の女性と過ごす4年間と、恵理菜が21歳になってから、誘拐当時の記憶をたどり本当の愛や母性について悩みながらも答えを見つけていく内容となっています。

映画「八日目の蝉」で描かれる誘拐事件とは

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主人公恵理菜の人生に大きな影響を与えた誘拐事件とは、どんなものだったのでしょうか?

赤ん坊の時代に誘拐されてしまったことで、本当の両親と離れ、誘拐犯の女性と一緒に過ごす運命を余儀なくされることとなります。

誘拐犯の女性は、父親の不倫相手

どしゃぶりの雨の中、その誘拐事件は実行されました。その誘拐犯は恵理菜の父親の愛人だったのです。 

恵理菜の父親と恋人関係にあった彼女は、恵理菜の父親との間に子供を身ごもります。 

しかし不倫関係だったため、子供を産むことはかないませんでした。子供を中絶した結果彼女は、今後子供が産めない体になってしまいます。 

そして、あることがきっかけで彼女は恵理菜の父親と妻との間に赤ん坊が生まれたことを知ります。 

彼女は、生まれた赤ん坊を一目みたいという好奇心を押さえることができませんでした。 

ついに彼女は、恵理菜の父親の家に忍び込みます。一目見て帰るつもりでした。 

しかし思いもかけず、赤ん坊である恵理菜が彼女に微笑みかけたことで気持ちが変わってしまいました。この瞬間彼女は、「これからこの子のためだけに生きよう」と衝動的に決意し、恵理菜を連れ去ってしまうのです。

こうして彼女の誘拐犯としての毎日が始まることになったのです。

小さい恵理菜は誘拐犯を本物のお母さんだと思い込んでいた

誘拐犯は、赤ちゃんである恵理菜にという名前をつけて、逃亡生活を続けていくことに。

友人に泊めてもらったり、女性のみの共同生活を送るエンジェルホームに入所して薫を大切に育てていきます。

エンジェルホームで3年穏やかな生活を過ごした2人でしたが、エンジェルホームには、自分の財産を投げ捨てて入団するといった宗教法人の側面がありました。

このため娘や家族を取り戻そうとすると家族達から、非難や抗議の的となっていたのです。

このまま騒ぎが大きくなればいずれ警察がやってくると感じた彼女は、エンジェルホームを出てさらに逃亡する決意を固めます。

そして、エンジェルホームで知り合った友人のつてで、岡山の小豆島に逃亡し、薫と新たな暮らしを始めていくことになるのです。

自然豊かで美しい岡山の小豆島に感動した誘拐犯の彼女は、薫にこれからはたくさんきれいなものを見せてあげようと決意します。

そうめん工場で働きながら、時間のある時には、薫を様々なところに連れていきます。それはそれは幸せに満ち足りた時間でした。

しかし、平穏な日々はある祭りに出かけたときに、打ち砕かれることになります。

虫送りの祭りで二人仲睦まじく祭りを楽しむ様子が、アマチュアカメラマンの撮影で全国紙に掲載されてしまい、警察に見つかる危険が高まってしまったのです。

逮捕されるのは時間の問題と覚悟した誘拐犯の彼女は、最後の時間を楽しく過ごすため、薫を学校や海、寺に連れて行って思い出を作りました。

そして写真館で二人の記念写真をとってもらったのです。

ある日のこと、二人でフェリー乗り場に出かけたとき、誘拐犯の彼女は不穏な空気を察知します。

周囲に警察の車が止まり、自分の逮捕の時が迫っていたのでした。

誘拐犯から解放された薫は心を閉ざしたまま大人へ

本当のお母さんと思い込んでいた誘拐犯から引き離された薫(本名 恵理菜)は、警察に保護されてから誘拐事件が大きく報道され、世間から好奇の視線にさらされることになります。 

また本当の両親とも心を開くことができないため、ギクシャクした家庭環境を過ごしていました。 

こうして彼女は小さいころの誘拐犯との記憶を閉ざし、次第に世界一悪いあの女が自分の家をめちゃくちゃにしたんだと考えるようになっていくのです。  

 

思いもよらない不倫経験が過去を手繰り寄せる!本物の母の愛とは

21歳の大学生になった恵理菜はアルバイトをしながら一人暮らしの生活を送っていました。

そして、彼女はアルバイト先で塾講師の男性と恋愛関係となり、妊娠します。しかし彼はすでに結婚しており、その関係は不倫関係にあることを知ることになるのです。

自分の家庭環境を破壊した原因が、過去の誘拐事件にあると誘拐犯を憎むようになっていた恵理菜。 自分が誘拐犯と同じように、不倫によって妊娠した事実に恐れおののきます。

そして、愛された経験のない自分には子供を育てられるはずがないと、子供をおろそうと考えるのです。

実はこのとき、彼女には子供のころエンジェルホームで一緒に過ごした千草と親しくなっていました。

千草は、幼き時の恵理菜と誘拐犯が過ごした日々を知っている人物で、フリーライターと名乗っていました。

彼女には、当時の誘拐事件とエンジェルホームの問題を取材し出版したいという夢があったのです。

千草に恵理菜が子供のことを相談すると、過去の誘拐事件のことを詳しく知るため、一緒に取材に出かけようと提案します。

こうして、恵理菜は千草と一緒に、誘拐犯と過ごした幼少期の記憶をたどっていくことに

そして誘拐犯と一緒に出掛けた海や学校、寺、祭りなどを巡った後、最後に分かれ分かれとなったフェリー乗り場の記憶が蘇ります。

そこは、警察に彼女が保護された場所でした。さらに記憶をたどるうちに、ある写真館の記憶が鮮やかによみがえってきました。

その写真館には、警察にまもなく捕まることを覚悟した誘拐犯が恵理菜と一緒にとった写真が飾られていました。

そして完全に記憶を取り戻した恵理菜は、彼女が誘拐犯であるにもかかわらず、本当の子供のように、自分に深い愛情をかけて育ててくれたことに気づかされるのです。

それは、誘拐犯の彼女にはできなかった自分の子供を育てていこうと決意した瞬間でもありました。

映画のストーリーを知れば知るほど深い!主題歌『Dear』の歌詞の意味とは

中島美嘉主題歌Dear』は、プロデューサーである石田雄治氏が、映画の最後に主人公の恵理菜の感情があふれ出るクライマックスシーンの後、主題歌が流れることを想定してオファーしたもの。 

このため、映画のストーリーでは語り切れなかった恵理菜の感情が、歌詞や音楽で存分に表現されています。 

それではその歌詞内容についてご紹介していきましょう。

なぜ誘拐されたのは私だったのか?なぜ誘拐されたの?自問自答し続けた日々

中島美嘉『Dear』は映画「八日目の蝉」主題歌♪歌詞情報などの詳細はこちら!の画像